...松葉杖をコトコトと突きながら...
太宰治 「人間失格」
...そのうちになんと隙(すき)を見出したか、「突き!」細い、爽(さわ)やかな少年の声は道場の板の間を矢の如く走ると見れば憐(あわ)れむべし、大兵の男は板の間も砕くる響きを立ててそこに尻餅(しりもち)をついて、鳥羽絵(とばえ)にあるような恰好(かっこう)をして見せたので、並み居る連中は吹き出しそうなのを、主座の方に気兼ねをしてやっとの我慢です...
中里介山 「大菩薩峠」
...太刀を取って向って来るものを上段に突き出して...
中里介山 「大菩薩峠」
...両手の指を交る交るに突き出して...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ドシンと力任せに突き飛ばしたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...星星が私の額を突き刺した...
原民喜 「ある時刻」
...妻と鼻を突き合はせてゐなければならないなんて!……彼は考へれば考へるほど...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...捕虜を暗がりの納屋のなかへ力まかせに突き飛ばしたので...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...下の石畳の上へ突き落としてやる決心をしていたんですが...
平林初之輔 「動物園の一夜」
...小さなマグロの頭から突き出た手製の鉤の...
アーネスト・ヘミングウェイ Ernest Hemingway 石波杏訳 Kyo Ishinami 「老人と海」
...グラントが右手を突き出し...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「鉄面皮」
...突然二十人ちかい一団がわッと風を巻いて森を突き走り出た...
牧野信一 「鬼涙村」
...再び何やらにて大地に突き落しぬ...
正岡子規 「飯待つ間」
...彼は急流に洗われた杭のように突き立って眺めていた...
横光利一 「街の底」
...顔を充血させた塩野が上着の下へ片手を突き込み...
横光利一 「旅愁」
...初めは人に突き衝ることよりどうして避けようかと気を張ったが...
横光利一 「旅愁」
...憤怒(ふんぬ)!奈落(ならく)へ突きのめされた梅雪は...
吉川英治 「神州天馬侠」
...太鼓でも叩(たた)くように前足を突き出し...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「にんじん」
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