...あるいは辰子ほど空疎な理想に捉(とら)われていないと言う優越だった...
芥川龍之介 「春」
...種々苦心して考へ出す大小の計畫もまことに空疎なものになつて...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...大きなしかし空疎な幻影を描かしめるものの多いに至つては...
田山録弥 「エンジンの響」
...この同化は甚だ空疎な...
田山録弥 「大阪で」
...実はこれほど空疎な言はない...
津田左右吉 「陳言套語」
...やはり空疎な点がある...
津田左右吉 「陳言套語」
...こういう現実味からいうと演劇フィルムは多くははなはだ空疎なものである...
寺田寅彦 「映画時代」
...空疎な借りもののいわゆる「美文」を装飾的に織り込んだりしたようなものもまた少なくはないようである...
寺田寅彦 「科学と文学」
...科学論に於て何か空疎なものを人々が感じるであろうことは...
戸坂潤 「科学方法論」
...国粋ファシストの道徳意識に於て極めて空疎な粗雑さを感じる人は...
戸坂潤 「思想としての文学」
...絢爛な空疎な作品が生れてくる...
豊島与志雄 「現代小説展望」
...自然に己(おのれ)なき空疎な感に打たれざるを得ない...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...外廓から見た大戰の印象もその頃はあらかた空疎なものになつてゐた...
野上豐一郎 「大戰脱出記」
...空疎な気持を抱かないで見ておれまいと思われる程度のシバイである...
三好十郎 「恐怖の季節」
...空疎なことを言ったので心寂しかった...
室生犀星 「童子」
...決意は決意だけの空疎なものになり易い...
山本周五郎 「菊屋敷」
...こんな柄にない空疎な所感を西田君に告げると...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...無責任の位置にある者の空疎な政論とかを...
和辻哲郎 「孔子」
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