...この日の競馬を知らせる煙火がぽんぽんと世間の不景気なんか大空の彼方へ吹っ飛ばしてしまいそうにコバルト色の朝空にはじけた...
犬田卯 「競馬」
...機影が空の彼方に没し...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...深い紺色の空の彼方から...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...み空の彼方、かしこには、花かぐわしく咲きていのちの木(こ)の実(み)なるところ……...
鷹野つぎ 「窓」
...いま恍惚と夢見るようにまっしろな球形の頭を微風になびかして音もなくふっわりと羽蟻のごとく飛びゆく数々の種子は青空の彼方へ飛び行く種子よ!周囲に呻吟するおれの希望を...
陀田勘助 「たんぽぽとおれの感傷」
...原理はいつも遠い空の彼方から天降つて来るもの...
時枝誠記 「国語学と国語教育」
...そは知れざる空の彼方より起りて伊太利亜の地に堕ち伊太利亜より移りてわが仏蘭西にまで響き来りし言葉なり...
永井壮吉 「偏奇館吟草」
...無限に遠き空の彼方續ける鐵路の柵の背後(うしろ)に一つの寂しき影は漂ふ...
萩原朔太郎 「氷島」
...何も彼(か)も虚空の彼方(かなた)に消えてゆき...
林芙美子 「浮雲」
...何も彼も虚空の彼方に忘れがちになつてゐる自分のこのごろの感情を呆れて眺めてゐた...
林芙美子 「ボルネオ ダイヤ」
...空の彼方(かなた)にある...
原民喜 「鎮魂歌」
...けれども蒼空の彼方には幻の宝庫があって...
原民喜 「夢と人生」
...空の彼方に消えゆく鴎を見おくつたり...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...滅多にそんな眼つきで空の彼方などを眺めた験しもなかつたのである...
牧野信一 「山の見える窓にて」
...凝つと空の彼方を望んだ瞳と...
牧野信一 「夜見の巻」
...空の彼方までそれが長い糸のやうな余韻を残して消えて行つた...
牧野信一 「悦べる木の葉」
......
山之口貘 「山之口貘詩集」
...敵の本拠、独龍山の影も、その日、空の彼方、昼靄(ひるもや)のうちに早や指させた...
吉川英治 「新・水滸伝」
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