「稍」の意味
少し
小説での「稍」の使い方
...追つて、翌十日は、朝来小雨有之候へども辰(たつ)の下刻より春雷を催し、稍(やや)、晴れ間相きざし候折から――村郷士梁瀬(やなせ)金十郎殿より、迎への馬差し遣はされ、検脈致し呉れ候様、申し越され候間、早速馬上にて、私宅を立ち出で候所、篠宅の前へ来かかり候へば、村方の人々大勢佇(たたず)み居り、伴天連(ばてれん)よ、切支丹(きりしたん)よなど、罵り交し候うて、馬を進め候事さへ叶ひ申さず、依つて、私馬上より、家内の容子差し覗き候所、篠宅の戸を開け放ち候中に、紅毛人(こうまうじん)一名、日本人三名、各々法衣(ころも)めきし黒衣を着し候者共、手に手に彼(かの)くるす、乃至は香炉様の物を差しかざし候うて、同音に、はるれや、はるれやと唱へ居り候...
芥川龍之介 「尾形了斎覚え書」
...稍あつてから、『今夜は何もしなくても可いから、先刻教へたアノ洋燈(ランプ)をつけて、四畳に行つてお寝(やす)み、蒲団は其処の押入に入つてある筈だし、それから、まだ慣れぬうちは夜中に目をさまして便所(はばかり)にでもゆく時、戸惑ひしては不可(いけぬ)から、洋燈は細めて危なくない所に置いたら可いだらう...
石川啄木 「天鵞絨」
...眠れ」稍々(やゝ)あつて彼は...
犬養健 「朧夜」
...昨日までは稍(やや)信じなかったですが...
海野十三 「赤外線男」
...侯の意亦稍々之に動かされて井上伯を大藏大臣たらしめむとするの傾向ありしを以て...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...俳諧師の群(むれ)は瓢箪(ひょうたん)を下げて江東(こうとう)の梅花に「稍(やや)とゝのふ春の景色」を探って歩き...
永井荷風 「夏の町」
...空(そら)は前(まへ)よりも稍暗(くら)くなつた...
夏目漱石 「それから」
...生来始て稍(やや)真面目になって再び筆硯に親しもうとしたが...
二葉亭四迷 「平凡」
...今度は稍々セリフも覚える気が出た...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...二回目は、客稍々よし...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...機嫌を損じるばかりでなく稍ともすれば...
牧野信一 「秋晴れの日」
...長い勤労の疲れが凝つて稍ともすれば...
牧野信一 「熱い風」
...もう駄弁の種もすつかり尽き果てゝ稍ともすれば沈黙勝ちな...
牧野信一 「くもり日つゞき」
...稍ともすると人の声にばかり留意するのが癖でした...
牧野信一 「早春のひところ」
...稍ともすれば氏の前でその仇名を呼ぶ者に出会つては叱咤の声を枯らしつゞけてゐる始末です...
牧野信一 「月あかり」
...稍ともするとそんな不甲斐ない己れに業を煮して...
牧野信一 「風流旅行」
...稍ともすれば森蔭や水ふちの隠花植物のはびこつた日蔭に蹲つて...
牧野信一 「ベツコウ蜂」
...今は稍(やゝ)これを得たるかと思はるゝに...
森鴎外 「舞姫」
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