...器から器に水を移すやうにして與へられることが出來ない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...そこにあるものを猿臂(えんぴ)を延ばして引き寄せてせわしく一まとめにして床の間に移すと...
有島武郎 「或る女」
...それを今夜は滝之助にと語り移すのであった...
江見水蔭 「怪異黒姫おろし」
...木片(こつぱ)に火を移す工合迄...
高濱虚子 「續俳諧師」
...それで物質界に関する普遍的な知識を成立させるには第一に吾人の直接の感覚すなわち主観的の標準をいったん放棄して自分以外の物質界自身に標準を移す必要がある...
寺田寅彦 「物理学と感覚」
...農を斯(この)土から彼(かの)土に移すのは...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...今年草廬(そうろ)を麻布に移すやこの辺の地味花に宜しき事大久保の旧地にまさる事を知る...
永井荷風 「偏奇館漫録」
...今かりにここに移す...
橋本進吉 「古代国語の音韻に就いて」
...直ぐに次へ眼を移す...
葉山嘉樹 「乳色の靄」
...下司どもに担がせて座敷へ移すと...
久生十蘭 「うすゆき抄」
...無銭飲食でいつかつかまつた男で……」りら子はその隣りの首に眼を移すと...
牧野信一 「心象風景(続篇)」
...それを布巾(ふきん)で堅く絞って細かに切って別に塩味の御飯を炊いてお櫃(ひつ)へ移す時よく混ぜます...
村井弦斎 「食道楽」
...瘧病(わらわやみ)をそれに移す祈祷(きとう)をした...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...男はこの望みどおりに妹の姫君へ恋を移すのは不可能に思っているのである...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...たしかに、居は氣を移すが、氣が移り過ぎる感である...
吉川英治 「折々の記」
...移すことに成功なすったのです...
吉行エイスケ 「バルザックの寝巻姿」
...方角を考えて時日を移すというような...
和辻哲郎 「埋もれた日本」
...従って理想の生を此(こ)の世から彼(あ)の世に移すことは無意義である...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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