...仕事に私情を持ち込むな...
...彼の判断は私情に左右されたものだった...
...私情に流されないで、客観的に物事を見よう...
...私情を挟まないように、公平な判断を下すべきだ...
...彼女は私情を持たず、常にプロ意識を持っている...
...私情の意地で申し上げるのではありませぬ...
太宰治 「右大臣実朝」
...顧ふに侯が近来政党に接近したるは明白なる事実なり特に憲政党と頗る親密なる交通を為しつゝあるは、最も新らしき事実なりされど侯の憲政党と交通するや、猶ほ文明国人の未開国人と交通するが如し侯の眼中に映ずる憲政党は、尚ほ是れ政治上の未開国のみ侯は此未開国の法律に服従するの危険を恐る故に之れと交通すと雖も、常に傲然として思想上の治外法権を維持せり侯或は此未開国を征服するの野心ありとせむされど侯は果して善良なる君主たるを得る乎伊藤侯と大隈伯とは、政界の両雄なりと公認せらるゝものなり其政治的手腕は真に両々相当るが為めなりされど党首として之を論ずれば、伊侯は到底大隈伯の対手に非ず世間動もすれば伯を称して煽動家と為すものあれども、是れ伯を侮辱するに非ずむば、伯を誤解するなり伯の煽動家ならざるは、猶ほ伊藤侯の党首の器に非ざるが如し伯は意見に富み、判断に長じ、特に其記性非凡にして、英敏なる組織力あるは、善く伯を識るものゝ皆許す所なり試に見よ、会計法の未だ整頓せざるに際して、予算編製の創意を出だしたるものは大隈伯に非ずや始めて統計事業を成案し、会計検査法を設けて、行政事務の改良を謀りたるものは亦大隈伯に非ずや伯は曾て紙筆を執りたることなく、算盤を手にしたることなきも、善く複雑なる事実と数字とを記憶して、其解紛按排頗る迅速なり此点より言へば、伯は大事務家なり大行政家なりされど伯の最も偉なる所は、国民を指導するの力量ある是なり伯は独自一己の意見を有すると共に、雑駁なる国民問題を溶解して、更に之れを清新なる晶形と為すの陶鋳力(クリスタリゼーシヨン)あり、伯は此陶鋳力に依りて、国民の偏見、私情、迷想に属する分子を除却し、以て其醇分を代表するの意見を製造するものゝ如し是れ自ら党首の器にして、伊藤侯の企て及ばざる所と為す...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...若し此陶鋳力を以て煽動家の破壊力と同視せば、其謬見や大なり煽動家は国民の偏見、私情、迷想に投じて之れを死地に陥る其目的唯だ破壊に在り...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...模範政治家たらむことを望むの私情は胸襟の間に往来する所たり...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...かりに私情を犠牲にしますとしてもですな...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...よつて僕の言の必ずしも私情的獨斷でないのが解ると思ふ...
萩原朔太郎 「室生犀星に與ふ」
...この場合も私情に捉われて遅疑するような事は微塵もなかったのであります...
久生十蘭 「魔都」
...吾黨とエワレツトとの所謂主觀は私情なり...
森鴎外 「柵草紙の山房論文」
...そのかなたを私情なりとし...
森鴎外 「柵草紙の山房論文」
...小義私情を捨てて大義公徳により...
吉川英治 「三国志」
...今日はさる私情にとらわれて...
吉川英治 「三国志」
...私情はまたべつと見える...
吉川英治 「三国志」
...自己を木石の如く、私情を仇の如く、じっと抑えていた...
吉川英治 「三国志」
...私情の忍びがたきものも...
吉川英治 「新書太閤記」
...とする小義や私情を乗り超えた信念が...
吉川英治 「新書太閤記」
...宗祖の大法を枉(ま)げても我意と私情を押し通そうというお心とみえる...
吉川英治 「親鸞」
...惑(まど)いがちな私情に鞭打(むちう)って...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...真理の前には母子の愛は私情である...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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