...馭者はたいがい幅つたい、福々しい顏で、妙に赤い斑點が出來てゐて、まるで血液が精分の強い食物のために皮膚の血管の一つ一つに漲つてでもゐるやうである...
アーヴィング 高垣松雄訳 「驛傳馬車」
...馭者はたいてい幅のひろい福々しい顔をしているが...
ワシントン・アーヴィング Washington Irving 吉田甲子太郎訳 「駅馬車」
...福々しく耳の押立(おった)って大(おおき)いのに...
泉鏡花 「唄立山心中一曲」
...福々(ふく/″\)した...
薄田泣菫 「茶話」
...この心掛けあってこそ自然口から愛嬌も出て顔容も福々しくなるのである...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...酒があつて飯があつて、そして寝床があつて、ああ幸福々々...
種田山頭火 「其中日記」
...米がある、炭がある、――幸福々々、感謝々々...
種田山頭火 「其中日記」
...老の鼻水!午後、街へ、油買ひに麦買ひに、そして一杯やつた、幸福々々...
種田山頭火 「其中日記」
...福々した男の微笑はかすかにひろがった...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「サレーダイン公爵の罪業」
...色白の福々しく肥(ふと)っていた幼(おさ)な顔だけが記憶に残っていた……...
徳永直 「冬枯れ」
...シュールは西洋の老女にはよく見るような円顔(まるがお)の福々しく頬(ほお)の垂れ下った目の細い肥った女である...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...人相も福々として...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...翳りのない明るい福々とした顔をしている...
久生十蘭 「肌色の月」
...見ちがえるように福々と肥り...
久生十蘭 「ハムレット」
...お屋敷の御用で、急に顔出しをしなければならなかったので――」と、その場にすがたを現したのが、もう六十路(むそじ)を越したらしい、鬢(びん)が薄れて、目の下や、頬(ほお)が弛(ゆる)んだ、えびす顔の老人、福々と、市楽柄(いちらくがら)の着つけ、うす鼠の縮緬(ちりめん)の襟巻を巻いた、いかにも大商人と思われる男だ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...いづれも福々しい人達であつた...
森鴎外 「追儺」
...後者は布袋らしく福々しいところは少しもなく...
柳田国男 「山の人生」
...おかげさまで」「いくさつづきで福々というわけだな」「なにしろ...
吉川英治 「私本太平記」
便利!手書き漢字入力検索