...圧(おし)にのせた石の数々はわずかに水を出た磧(かわら)であった...
泉鏡花 「絵本の春」
...磧(かわら)の中を白い水は泡立ちつつ流れ...
梅崎春生 「日の果て」
...土手から磧(かわら)にかけて...
梅崎春生 「日の果て」
...山火事の天を焦(こが)して霜赤し蒼苔低く飛ぶ星あり今宵霜降らん東雲鶺鴒(せきれい)の尾にぞ霰(あられ)のはじかれし蒼苔橋に来てまたはら/\と霰散る花牛堂大いなる霰ころがりて縁に消えざる虚子玉霰忽(たちま)ち来り忽ち歇(や)む楽天京に入つて霰に笠を叩かれつ不迷物思ふ窓を霰に叩かれき不染あられうつ石峨々(がが)として水急なり霜磧こんな類(たぐい)であります...
高浜虚子 「俳句の作りよう」
...本流から岐(わか)れた一条(ひとすじ)の流れが斜(ななめ)に来て磧(かわら)の裾(すそ)で岸の竹藪(たけやぶ)に迫っていたが...
田中貢太郎 「赤い土の壺」
...四条から五条の磧(かわら)に三十石積(こくづみ)...
田中貢太郎 「切支丹転び」
...それは広い磧で、あたりの静まつた、瀬の音だけが無暗みときはだつて聞える日中で、水流のきらめく縞や、日に温められた磧石からむつと立つて来る温気や、遠くの方の子供達の叫び声や、ふりまはしてゐる青い竹竿や、さあつと時々中空から下りて来るうす冷い微風や、彼等が走り、叫び、つまづき、又一所にかたまつて遠くの山襞(やまひだ)にうすく匍ひ上る青い一条の煙(それは炭焼の煙だつた)に驚きの眼を見はつた、あの空白なすつきりした瞬間、――からみ合ひ、押へつけ、お互ひの腕と腕との筋肉が揉み合つて、下敷の子の涙の出さうになつた懸命な眼や、多勢に追ひつめられて溝をとび越さうとして思はず泥の中に足をつゝこんだりしたこと、敵方のはやし立てる明るい声や逃げて行く弱い子の背中にぴよんぴよん動く小さな帯の結び目や若葉のきらめき、河魚の手ざはりと匂ひ――それらの記憶が一瞬のうちに現在の房一の胸に生き生きとよみがへつて来た...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...玉川の磧では工兵が架橋演習をやつて居た...
寺田寅彦 「寫生紀行」
...夏が来ると南磧(みなみがわら)に納涼場が開かれて...
寺田寅彦 「涼味数題」
...玉川の磧(かわら)からぬいて来た一本の月見草が...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...どんどん磧の方へ...
直木三十五 「南国太平記」
...段々右に折れて間もなく磧の石のがら/\した硫黄澤に入る...
沼井鐵太郎 「黒岩山を探る」
...磧の雪の間を川水が青くせせらいで流れてをり...
野上豐一郎 「北信早春譜」
...この磧からは私の住む寺院がよく見えた...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...石白く茫々たる磧(かわら)の草も末枯れて茜色に染まり...
室生犀星 「童話」
...おぬしの入道首が磧(かわら)の烏に啄(ついば)まれる日が...
吉川英治 「親鸞」
...三条磧(さんじょうがわら)の水明りが眼の前にあった...
吉川英治 「親鸞」
...「ううう……」磧(かわら)へ立つと...
吉川英治 「松のや露八」
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