...文通さへ碌にしなかつた...
芥川龍之介 「秋」
...碌に身動きさへもしない...
芥川龍之介 「酒虫」
...家のものとは話しも碌にしない...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...ですから自分は一人で書斎に入ったきり食事も碌にせず...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「消えた霊媒女」
...碌に口もきいたことはないのだが大ぶ親しく交わった...
大杉栄 「獄中記」
...碌にその方の話の相手にはならず逃げておりました...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...碌に実が生(な)らぬ柿の木さえ秋は美しく紅葉し...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...停車場から碌に挨拶もせずに帰つて行つたのである...
徳富蘇峰 「弟を葬る」
...その儘にしといた方がいいですね」「何しろ碌に寝なかったんだからな...
戸田豊子 「歩む」
...病気が重(おも)って口も碌に利けなくなると...
豊島与志雄 「神棚」
...大根一本碌に出来ないような始末...
新渡戸稲造 「人格の養成」
...碌に人に挨拶もできない奴ばかりぢやないか」と弟達にあてこすることもあつた...
原民喜 「壊滅の序曲」
...殆ど碌に顔も知っていなかった...
原民喜 「翳」
...碌に身体へもあてずに持って行った...
久生十蘭 「金狼」
...碌に泳げるのでもなく...
牧野信一 「貧しき日録」
...碌に話の進まぬ中に立ち消えになつて...
正宗白鳥 「入江のほとり」
...早朝夜も碌に明ぬ内から出掛て往た者で...
南方熊楠 「蓮の花開く音を聽く事」
...碌に用向きをしなくなつてゐた...
室生犀星 「渚」
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