...併しお前はまだ碌にその生活を味つてゐないから...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...お鳥がこちらから聽いた時は怒つて碌に答へをしなかつたことまでも...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...ね? そんなつき合(え)ひは斷つてしまひなさいと云つたぢやアないか? 碌にかせぎもしないで!」「うへの先生でもやつてることだア...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...平常は無口で挨拶も碌にしないが...
高濱虚子 「俳諧師」
...碌に実が生(な)らぬ柿の木さえ秋は美しく紅葉し...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...病気が重(おも)って口も碌に利けなくなると...
豊島与志雄 「神棚」
...碌に返辞もしないで...
豊島与志雄 「黒点」
...彼は碌に後方を眺めないだろう...
豊島与志雄 「新時代の「童話」」
...返事も碌にしない...
豊島与志雄 「「沈黙」の話」
...僕は碌に酒も喉に通らなかった...
豊島与志雄 「不肖の兄」
...碌に見る所もない新聞だからぢきに不用になつた...
長塚節 「旅の日記」
...それで、おれは、手紙を出そうかとも考えてみたんじゃが、……碌に、字は知らんし、文章も書けんもんじゃけ、……」暗くてわからなかったけれども、そういう金五郎の顔には、悲しげな自嘲の表情が湧いたように思われた...
火野葦平 「花と龍」
...碌に話が出来ないらしい...
古川緑波 「甘話休題」
...碌に挨拶もせいで行つたのだもの...
正宗白鳥 「避病院」
...碌にしみじみ話をする機会も無い間(うち)に...
松崎天民 「友人一家の死」
...早朝夜も碌に明ぬ内から出掛て往た者で...
南方熊楠 「蓮の花開く音を聽く事」
...親達は碌にお互の話もしないで食事が終ると...
室生犀星 「神のない子」
...げっそり瘠せて碌に飯も食わないでゴロゴロしていた白痴の娘は...
矢田津世子 「反逆」
便利!手書き漢字入力検索