...それから其物案じがすむと碌々話もせず其男は歸つてしまふ...
高濱虚子 「俳諧師」
...あの青白い顔……沈み切った力ない顔……ほほえみながら口も碌々(ろくろく)きかずに……...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...今じゃ碌々腰も立たないんだ...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「追放されて」
...お島は碌々(ろくろく)それには耳も仮さなかった...
徳田秋声 「あらくれ」
...人の前では碌々物も云へない位の風であつた...
徳富蘇峰 「弟を葬る」
...碌々私に返辞もなさらないんでしょう...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...彼は碌々(ろくろく)話も交えない労働者らの間にあって...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...保子へ碌々挨拶もしないで...
豊島与志雄 「反抗」
...喫驚してるお上さんの言葉に碌々耳も傾けず...
豊島与志雄 「未来の天才」
...碌々人によって事を為すの徒...
直木三十五 「南国太平記」
...その日は碌々(ろくろく)口もきかないで塞(ふさ)ぎ込んでいた...
夏目漱石 「幻影の盾」
...碌々言語が相通ぜなくとも...
新渡戸稲造 「東西相触れて」
...又もや王牌(キング)入の二二一(ピャチェリク)をならべをつた! 祖父の手は切札ぞろひと来てゐる! 碌々思案もせずに...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...B・Rの手紙のことばかり気にしてゐて碌々空も仰がなかつたのか――と私は苦笑した...
牧野信一 「タンタレスの春」
...吾人は常に碌々たる小人と伍せざるべからず...
山路愛山 「明治文学史」
...碌々(ろくろく)とあえぐ...
吉川英治 「三国志」
...ただ寺院を廻って碌々(ろくろく)と後生を願っているような...
吉川英治 「宮本武蔵」
...プラスビイユはフフンと鼻であしらって返事も碌々しなかった...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
便利!手書き漢字入力検索