...めいめいが硯(すずり)を洗いに...
有島武郎 「星座」
...渋民の小学校にありし頃よく用ひし事あり、丁子と云ふ名はよけれど、之を硯に擦るに、恰(あたか)も軽石に踵(かかと)の垢(あか)を磨く時の如き異様の音す...
石川啄木 「閑天地」
...硯友社(けんゆうしゃ)より...
泉鏡花 「薄紅梅」
...これはまた「古松研」といふ紫石端渓の素晴しい名硯を持合せてゐた...
薄田泣菫 「古松研」
...硯箱、巻煙草入、灰落し……やくざな政党員のやうな安物ばかり買取つた...
薄田泣菫 「茶話」
...外ニ一萬圓ヲ投ジテ故桑野鉄城氏ガ所有シテイタト云ウ紫斑文ノアル端渓ノ硯一面...
谷崎潤一郎 「瘋癲老人日記」
...昨日硯海(けんかい)を飛び出したほどの鮮かさである...
中里介山 「大菩薩峠」
...石の硯も金属の硯も同様に...
中谷宇吉郎 「硯と墨」
...吾輩の傍(そば)へ筆硯(ふですずり)と原稿用紙を並べて腹這(はらばい)になって...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...硯(すずり)を拝借願えませんか」平次は縁側の端っこに腰をおろしました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...大勘定とて此夜あるほどの金をまとめて封印の事あり、御新造それ/\と思ひ出して、懸け硯に先程、屋根やの太郎に貸付のもどり彼金(あれ)が二十御座りました、お峰お峰、かけ硯を此處へと奧の間より呼ばれて、最早此時わが命は無き物、大旦那が御目通りにて始めよりの事を申、御新造が無情そのまゝに言ふてのけ、術もなし法もなし正直は我身の守り、逃げもせず隱られもせず、欲かしらねど盜みましたと白状はしましよ、伯父樣同腹(ひとつ)で無きだけを何處までも陳べて、聞かれずば甲斐なし其場で舌かみ切つて死んだなら、命にかへて嘘とは思しめすまじ、それほど度胸すわれど奧の間へ行く心は屠處(としよ)の羊なり...
樋口一葉 「大つごもり」
...硯に近い右の方から...
宮本百合子 「雲母片」
...それに蒐集家(しゅうしゅうか)で書画、古硯(こけん)、古陶、染織等の類は、見るべき品が数々ありました...
柳宗悦 「沖縄の思い出」
...筆墨紙硯などを売っているが...
山本周五郎 「おれの女房」
...(後節「明治女芝居と娘義太夫」参照)硯海太夫と鶴彦翁義太夫と一中節の掛合政客中の粋人大岡硯海(育造)先生...
山本笑月 「明治世相百話」
...矢代はむかし幕府の将軍夫人が硯水を京都から取りよせる話を読んで...
横光利一 「旅愁」
...筆硯(ふですずり)も...
吉川英治 「私本太平記」
...平地は硯(すずり)のような黒石...
吉川英治 「神州天馬侠」
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