...一人の女人(にょにん)や一つの想念(イデエ)や一本の石竹(せきちく)や一きれのパンをいやが上にも得ようとしている...
芥川龍之介 「十本の針」
...植物と言ふものゝ気味の悪さ!蟇最も美しい石竹色は確かに蟇(ひきがへる)の舌の色である...
芥川龍之介 「侏儒の言葉」
...二三日前に百花園からつるの手をつけてある目籠に長命菊つくし石竹の苗其他数種の青草を植込にしたやつを買って来て置いたのを持って往ったのであるきょうは暖炉の掃除をやったとの事で先生は八畳の座敷に石油暖炉をたき東向になってねていられた...
伊藤左千夫 「根岸庵訪問の記」
...本年も四月の初めに、何の花だか遠目でよくは分らなかったが、赤い色の大きなのが咲きそめて、今はもう、石竹、なでしこの類が千紫万紅を競うている...
大杉栄 「獄中消息」
...鉢植の赤と白との石竹の花が...
鈴木三重吉 「桑の実」
...木には黄楊(つげ)、椎(しい)、檜(ひのき)、花には石竹、朝顔、遊蝶花(ゆうちょうか)、萩(はぎ)、女郎花(おみなえし)などがあった...
田山花袋 「田舎教師」
...スマラグド色の眼と石竹(せきちく)色の唇をもつこの雄猫の風貌にはどこかエキゾチックな趣がある...
寺田寅彦 「ある探偵事件」
...石竹と青猫みどりの石竹の花のかげに ひとつの幻の屍體は眠るその黒髮は床にながれて手足は力なく投げだされ 寢臺の上にあふむいてゐるこの密室の幕のかげをひそかに音もなくしのんでくる ひとつの青ざめたふしぎの情慾そはむしかへす麝香になやみくるしく はづかしく なまめかしき思ひのかぎりをしる...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...石竹(せきちく)色のカチーフ...
久生十蘭 「キャラコさん」
...衿に石竹の花をつけたタクシードを着たフレッドさんしか見ていないので...
久生十蘭 「だいこん」
...欠刻ある五弁の石竹咲白花を着け...
牧野富太郎 「植物一日一題」
......
正岡子規 「墨汁一滴」
...石竹は支那から入たゆゑカラナデシコといふ...
南方熊楠 「きのふけふの草花」
...支那より渡つた四季咲の石竹を宇多帝が初めて宮中に栽させられたとみえる...
南方熊楠 「きのふけふの草花」
...石竹(せきちく)などさき乱れたり...
森鴎外 「みちの記」
...空には石竹色の美しい雲が流れていた...
山本周五郎 「青べか日記」
...「……これは又……どうして……」「お久しゅう御座います」若侍は美しく耳まで石竹色(せきちくいろ)に染めて眼を輝やかした...
夢野久作 「斬られたさに」
...また石竹(せきちく)のやつだ...
ルナール Jules Renard 岸田国士訳 「博物誌」
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