...其癖知らず識らずの間に樂しく日を送ることがあるならば...
會津八一 「趣味の向上」
...さうしてその悲しむべき横着によつて知らず識らずの間に予の享けた損失は...
石川啄木 「郁雨に與ふ」
...知らず識らず勝負の回數を夢中で重ねて行き...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...知らず識らず自己の種属の維持に務めて居るに過ぎぬが...
丘浅次郎 「人類の誇大狂」
...それは知らず識らずのうちにボル派の影響が俺たちの仲間に浸透していることを物語っている...
高見順 「いやな感じ」
...知らず識らずに印度の知識を注入されて...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...知らず識らず杯の数を重ねた...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...彼は知らず識らず綾子の面影を心に浮べていた...
豊島与志雄 「人間繁栄」
...昌作は知らず識らず笑顔をした...
豊島与志雄 「野ざらし」
...知らず識らず胸に企(たくら)んでいたことが...
豊島与志雄 「反抗」
...知らず識らず陥(はま)り込んだ女が...
中里介山 「大菩薩峠」
...充たされぬ自己の欲望のためにいつか自分自身をも知らず識らずの裡に蠶食してゐるそのやうな不幸なものを...
堀辰雄 「ゲエテの「冬のハルツに旅す」」
...さういふ點からしてもそれ等のふとゆきずりに見たやうな窓といふ窓がこのわれわれの人生に對して持つてゐる大きな意味――さう云つたやうなものが知らず識らずのうちにわれわれにひしひしと感ぜられて來ずにはおかないのである……それ等の詩はどれも難解といふほどではないが...
堀辰雄 「詩集「窓」」
...彼女はどういふ二人づれを見ても知らず識らず扁理たちを思ひ出してゐたのだが……彼女は歩きながら...
堀辰雄 「聖家族」
...その時はじめてその女と自分とがいつか知らず識らずの裡に暖爐の方へ背中を丸めるやうにして互に身をよせてゐるのに氣がついた位だつた...
堀辰雄 「生者と死者」
...あんなところから知らず識らずこの俺を軽蔑する程度が強まつたのかも知れない――...
牧野信一 「「悪」の同意語」
...――この二人も知らず識らず自分を内海に比べてゐるらしかつた...
正宗白鳥 「假面」
...知らず識らずの間に人々の心の中に強い大きな“反省の文學”といつたやうな使命をしてゐるんぢやないかと私には思はれるのです...
吉川英治 「折々の記」
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