...出した其手で矢庭に畳に突いたお利代の手を握つて...
石川啄木 「鳥影」
...渠は矢庭に机の上の『創世乃卷』に突伏した...
石川啄木 「病院の窓」
...……」松吉は矢庭に化助の後にとびかかって...
海野十三 「雷」
...そして矢庭に、そこに積んであった書籍をドンドン床の上に落した...
海野十三 「深夜の市長」
...矢庭に厳しい面特になつて「お前なんかに何が解るか」ときめつけた...
田畑修一郎 「鳥羽家の子供」
...陣笠を被つて槍を持つた男が矢庭に私の胸倉を取て二階に客が有るに相違ない...
楢崎龍、川田雪山 「千里駒後日譚」
...私は口惜しいツ」お粂は矢庭にその胸に飛付くと...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...おれは修道士にはなれないんだ」矢庭に立ちあがると...
久生十蘭 「葡萄蔓の束」
...矢庭にあたしをお抱きあげになつたわ...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「狂人日記」
...矢庭に帽子を掴みざま我が家をさして...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...何を思ったものか矢庭にお神棚の下の風呂敷を撥(は)ね退けた...
牧逸馬 「助五郎余罪」
...さうかと思ふと矢庭に眼近かに吹き寄せて...
牧野信一 「熱い風」
...彼女は矢庭に斯んなに叫んで...
牧野信一 「小川の流れ」
...亭主は矢庭に奥へ駆け込まうと身構へたので私は腰かけから飛びあがつて慌てて彼を抱き止めた...
牧野信一 「泉岳寺附近」
...」と続けて、矢庭に、ぽかんとしてゐた私に、震える手を差し伸すと、力一杯私の両唇をつまんでギユツとねぢりあげた...
牧野信一 「毒気」
...「運動! 運動!」などと叫びながら矢庭に向ひ側の草の丘へ駈け昇つたりしました...
牧野信一 「舞踏会余話」
...そして矢庭に筆を執りました……けれども...
水野仙子 「道」
...隊長の姿が見えると兵士らは手にしてゐるシガレットを矢庭に放(はふ)り棄(す)てて整列する...
宮地嘉六 「老残」
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