...ト、急に之をお芳に呉れるのが惜しくなつて来たので、対手にそれを云ひ出す機会を与へまいと、寝返りを打たうとしたが、怎したものか、此瞬間に、お芳の目元が菊池に酷(よく)似てると思つた...
石川啄木 「菊池君」
...次の瞬間に五郎は眠りに入っていた...
梅崎春生 「幻化」
...そのためには気圧は一瞬間に何十粍(ミリ)という急角度の変動を必要とする...
海野十三 「科学者と夜店商人」
...病者にとってはたとえば地震におしつぶされる瞬間にも飛び起きられる力の蓄積に相当するものであった...
鷹野つぎ 「窓」
...何らかのものがその持続する箇々の瞬間において保存せられるためには...
デカルト Renati Des-Cartes 三木清訳 「省察」
...しかし目をほかへ転じようとする瞬間にまたすばやくまたたくように見えた...
寺田寅彦 「自画像」
...彼は瞬間に心持ち歩み悩んで...
富ノ沢麟太郎 「あめんちあ」
...最も彼に近づいてると思っていた瞬間に...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...ある瞬間には彼は自ら言った...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...また浮袋を離れて海に没入した瞬間に於て...
中里介山 「大菩薩峠」
...この忙がしい折柄に一応、穴っ子の中へ眼を通すだけは通しておいて、次の瞬間に、源松は外へ飛び出し、再び橋上の職場へ取って返し、さて、仕事はこれからと、勇み足を踏みしめた途端、橋の上で突然、人をばかにしたような声が起りました、「おいおい、吉田氏、竜太郎どの、何をそんなところで、うろうろしているのだ、気のきいた幽霊は引込む時分だ」その男は、菊桐の御紋章の提灯を提(さ)げていたのが、これも少々酔っていると見えて、声は大きいけれども、うつろです...
中里介山 「大菩薩峠」
...だが次の瞬間には...
新美南吉 「良寛物語 手毬と鉢の子」
...不意に――一瞬間に――まったく同じ一刹那に――その鳥の群れはみな空中へ舞いあがって飛び去ってしまった...
アンブローズ・ビヤース Ambrose Bierce 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...恰(あたか)も音楽の一つの曲の如何なる瞬間に或る音が来るかということが偶然でないように...
三木清 「人生論ノート」
...それが本質を失い本質を歪めている事が明瞭に徹底的に判然とした瞬間に...
三好十郎 「俳優への手紙」
...そう聞いた瞬間に...
夢野久作 「けむりを吐かぬ煙突」
...その場の調子に依って自分の心理状態までも一瞬間にかえてしまって...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...その顔を見た瞬間に……又暴風(あらし)だな……と直覚した私は...
夢野久作 「幽霊と推進機」
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ああでもないこうでもない 死に損ない 着火
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