...かきのけてもかきのけても容易に火の燃え立って来ないような瞬間には私はみじめだった...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...次の瞬間には何をしだすか分らないような狂暴さが清逸に迫ってきた...
有島武郎 「星座」
...その次の瞬間にK氏の姿はもう見えなくなつてゐました...
薄田泣菫 「質屋の通帳」
...つぎの瞬間には高い樹上におどりあがり...
橘外男 「亡霊怪猫屋敷」
...女のからだはまっぷたつと思いきや!飛燕(ひえん)のごとくに飛びあがったそのすばやさ! つぎの瞬間には将監の頭上で身をおどらし...
橘外男 「亡霊怪猫屋敷」
...馬前にいた河内介は咄嗟(とっさ)に大将の身を庇(かば)い、則重を森の中へ避難させて、屹(きっ)と戦場を見渡したが、狙撃(そげき)された則重の驚きもさることながら、此の瞬間に、河内介の胸の中にも或るぼんやりした不安の雲が湧(わ)いたのであった...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...あるいはこの花の咲く瞬間に放散する匂いではあるまいか...
寺田寅彦 「浅間山麓より」
...その瞬間にこの男は突然に...
寺田寅彦 「自由画稿」
...其健鬪の瞬間に於ける脱苦の状態を指すのであります...
朝永三十郎 「學究漫録」
...そして電車が一寸動き出したと思う瞬間に...
豊島与志雄 「微笑」
...彼らの二つの手が相触れた神秘な瞬間に...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...その瞬間に神尾の姿を見て...
中里介山 「大菩薩峠」
...さうして其瞬間に今まで動搖して居た心が楔子を打ち込んだやうにきつとした...
長塚節 「商機」
...それで例えば宇宙線が「ウィルソン霧函」の中を通った瞬間には...
中谷宇吉郎 「「茶碗の湯」のことなど」
...この瞬間に感覚に現れるある印象から取り入れられ...
デイビッド・ヒューム David Hume 井上基志訳 「人間本性論(人性論)」
...この人の好い単純な老人には私はそんな瞬間にもふだんの物静かな奥様にしか見えていなかったろう...
堀辰雄 「菜穂子」
...消えた瞬間に旧位置の少しさきに現れ...
武者金吉 「地震なまず」
...ふとそれに心をとめるその瞬間に...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
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