...丁度私が其の不調和なヤコフ・イリイッチの面構えから眼を外らして、手近な海を見下しながら、草の緑の水が徐ろに高くなり低くなり、黒ペンキの半分剥げた吃水を嘗めて、ちゃぶりちゃぶりとやるのが、何かエジプト人でも奏で相な、階律(リズム)の単調な音楽を聞く様だと思って居ると、睡いのか...
有島武郎 「かんかん虫」
...刹那の間だけでもぐツすり一と安心して眠つて見たい――然し又死人の安住は得たくない――睡いやうでも...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...今日は睡(ねむ)いなあ、お母さん、今日は体操の時間にうんと駈足(かけあし)をしたんで、睡いんですよ...
海野十三 「新学期行進曲」
...まだ猛烈に睡い...
海野十三 「霊魂第十号の秘密」
...「まだ睡いの、よく眠るじゃないか」女はぐっすり眠っているのか眼を覚さなかった...
田中貢太郎 「竇氏」
...労れた/\睡い/\...
種田山頭火 「行乞記」
...私、睡いんだから...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「マリ・デル」
...冬の朝の六時私の頭も睡い...
中原中也 「在りし日の歌」
...烏が啼いて通る――庭の地面も鹿のやうに睡い...
中原中也 「在りし日の歌」
...「あつしも睡いところを叩き起されて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...ゆるくゆるくゆるんで行く睡い瞼のすぐまのあたりを凄い稲妻がさツと流れた...
原民喜 「鎮魂歌」
...睡い...
北條民雄 「道化芝居」
...私は重い睡い空気と何とか新鮮な人間の生きるにふさわしいオゾーンを発生させようと夜もひるも動いている小さい丸いダイナモなのにあなたの手紙は私を笑わせ...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...たとえば睡い朝、かすかに、そして途切れ途切れに物音がきこえて来て、それが追々急に近くきこえるかと思うとフット又遠くなり、だが益明瞭になって来る、そういう過程...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...本当にマア何と睡いのでしょうね...
宮本百合子 「獄中への手紙」
......
室生犀星 「愛の詩集」
...そして何事もないような睡い顔をしていました...
室生犀星 「ゆめの話」
...起きているべき時に睡いのが不幸であったのを...
柳田国男 「年中行事覚書」
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