...それから真新しい何畳(なんじょう)かの畳(たたみ)...
芥川龍之介 「母」
...――もっと深入した事は、見たまえ、ほっとした草臥(くたび)れた態(なり)で、真中(まんなか)に三方から取巻いた食卓(ちゃぶだい)の上には、茶道具の左右に、真新しい、擂粉木(すりこぎ)、および杓子(しゃくし)となんいう、世の宝貝(たからもの)の中に、最も興がった剽軽(ひょうきん)ものが揃って乗っていて、これに目鼻のつかないのが可訝(おかし)いくらい...
泉鏡花 「貝の穴に河童の居る事」
...それはまだ磨いたばかりの真新しい墓石であることが分った...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...庄造は、夕日がだん/\鈍くなつて行く中で、塚本の手にある畳針ばかりがいつ迄もきら/\光つてゐるのを、見惚(みと)れるともなく見惚れながらぼんやり彳(たたず)んでゐるのであつたが、ちやうど此のあたりは国道筋でも人家(じんか)が疎(まば)らになつてゐて、南側の方には食用蛙を飼ふ池があり、北側の方には、衝突事故で死んだ人々の供養のために、まだ真新しい、大きな石の国道地蔵が立つてゐるばかり...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...彼はいかにも新参者らしく真新しい手拭を首にかけて...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...きちんとした真新しい身の廻りのものを持った...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...一向使ったようにもない商売物の真新しい風呂桶を見ると...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「爺(とっ)さん、お前の手柄にさせる積りで、今まで知らん顔をしていたが、こうなっちゃ仕方があるまい」平次は釣瓶(つるべ)井戸を覗くと、真新しい竹竿を、釣瓶のブラ下がったまま、縁側へ持って行きました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...まだ真新しいもので...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...大黒屋の裏口で殺されたという、番頭正次郎の死体は取り入れましたが、不思議なことに死体があったという裏口から、大川へ通う路地には、栞(しおり)代りに撒(ま)いたように、真新しい小判が、幾十枚となく落散っているのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「待て待て、紅皿は真新しい、買ったばかりで手が付いていない、――それに半襟だけは余計だ」平次は落着払ってその下を見ると、底の方へ押込むように入れてあるのは、一口(ひとふり)の匕首(あいくち)、抜いてみると、思いの外の凄い道具です...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...自分の目が信じられないくらい真新しい人間になってるんだ」ラスチニャックはもはや躊躇しなかった...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...と書きつけたまだ真新しい木標...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...それは匂いだすかと思われるばかりの真新しい真紅の薔薇の花簪(かんざし)であった...
久生十蘭 「海豹島」
...まだ一度も使つたことのない真新しい針などを取り出しては...
北條民雄 「続重病室日誌」
...一四木口こそ真新しいが...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...――お目ざめになられましたぞ」まだ白壁も真新しい長浜の城内では...
吉川英治 「新書太閤記」
...洪水に流されて建て直したのか真新しい...
吉川英治 「随筆 新平家」
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