...舷までひたひたと水に埋もれながらもとにかく船は真向きになって水の面に浮かび出た...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...火の番の拍子木を聞くと急に右へ折れて花岡の方へと真向きに行く――ここをふらっと行き尽せば灘田圃(なだたんぼ)だ...
中里介山 「大菩薩峠」
...真向きに見られて...
中里介山 「大菩薩峠」
...真向きから照らし出されて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...真向きにFを感ずるのが苦しかつたからである...
牧野信一 「或る日の運動」
...籠の木兎の眼が真向きに陽を享けて爛々としてゐた...
牧野信一 「心象風景(続篇)」
...受話機を握つたまゝ横を向くと真向きの壁に懸つてゐるビールの広告鏡に全身が映つてゐるのに気づいた...
牧野信一 「心象風景(続篇)」
...見ると真向きの居酒屋の障子に...
牧野信一 「泉岳寺附近」
...雨の日には丸窓の真向きにあたる茶室の細目にあけた障子の間から張番の眼を輝やかせてゐて...
牧野信一 「天狗洞食客記」
...柳の木の間から真向きにあたる川上の...
牧野信一 「バラルダ物語」
...真向きに遥の海から起つて来る風が...
牧野信一 「陽に酔つた風景」
...人生と真向きに立っている妻の毅然とした力が感じられる...
宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
...百燭の電燈に真向きに照されたその顔は...
夢野久作 「暗黒公使」
...そのお眸を真向きに直した...
吉川英治 「私本太平記」
...こちらなら真向きと思ってお目に懸けに持って出ましたがという...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
...暗闇の中の二ツの目はジイと白く真向きにすわったまま...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...毒をもって毒を制するため――宝蔵番には真向きな人物として...
吉川英治 「宮本武蔵」
...「あ」伊織は、真向きに、老婆のまえに立った...
吉川英治 「宮本武蔵」
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