...舷までひたひたと水に埋もれながらもとにかく船は真向きになって水の面に浮かび出た...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...髷(まげ)を真向きに...
泉鏡花 「婦系図」
...真向から雪が吹きつけて...
伊藤野枝 「乞食の名誉」
...何時でも具足に身をかためて真向から人を睨(ね)めつけてゐます...
伊藤野枝 「妾の会つた男の人人」
...道をへだてた真向うのT館から...
高見順 「如何なる星の下に」
...雪子は自分の真向うに腰かけている中学生が...
谷崎潤一郎 「細雪」
...初めて真向からその正体を現わして来た迄なのである...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...真向から二つになるぞ」と...
直木三十五 「南国太平記」
...真向に断ち割られて二言ともなくのめっていたり...
中里介山 「大菩薩峠」
...その門の真向いには...
中谷宇吉郎 「御殿の生活」
...母を真向(まむき)に見る...
夏目漱石 「虞美人草」
...それが真向(まとも)に双方を了解できる聡明(そうめい)な彼の頭を曇らせる原因になった...
夏目漱石 「明暗」
...母屋(おもや)の藤棚が真向うに見えます...
堀辰雄 「美しい村」
...私の真向いの椅子にどっかりと反り返りながら……...
夢野久作 「暗黒公使」
...女中部屋の扉(ドア)の真向いに当る廊下の突当りで...
夢野久作 「二重心臓」
...これを(かぶと)の真向へ挿してゆけ」と...
吉川英治 「三国志」
...そのお眸を真向きに直した...
吉川英治 「私本太平記」
...彼の心は真向(ひたむ)きだった...
吉川英治 「親鸞」
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