...一日の行楽に遊び疲れたらしい人の群れにまじってふきげんそうに顔をしかめた倉地は真向(まっこう)に坂の頂上を見つめながら近づいて来た...
有島武郎 「或る女」
...尾根越しの風を真向に感じる時の気持! 雪の平地にカンジキの跡をつけて二...
石川欣一 「可愛い山」
...真向から部下を引連れて乗込むのは容易(たやす)い事だが...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「黒猫十三」
...しかしながら私(わたし)は軍人風(ぐんじんふう)に真向(まっこう)に切出(きりだ)します...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六号室」
...骨(ほね)も砕(くだ)けよとその鉄拳(てっけん)を真向(まっこう)に...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六号室」
...これは肉づきのよい面にポッと紅を潮(さ)して澄み渡った眼に竜之助の白く光る眠を真向うに見合せて...
直木三十五 「大衆文芸作法」
...自分だけが真向から二つに斬られなくてはならなかった...
直木三十五 「南国太平記」
...真向からの陽を射返して...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...歌ごえは真向いの段々畑からばかりではなく...
久生十蘭 「生霊」
...……真向いの、なだらかな丘の斜面に、バンガロオふうの建物が側面に夕陽を浴びて、一種、寂然(せきぜん)たるようすで立っていた...
久生十蘭 「キャラコさん」
......
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...真向かいの扉へ行って鍵を確かめた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部」
...先生!」ハルミが露路を隔てた真向きの窓から呼びかけるのであつた...
牧野信一 「真夏の朝のひとゝき」
...丁度今七色蕃椒屋(なゝいろたうがらしや)のある地所の真向であつた...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...忽然(こつぜん)衝天(しょうてん)の勇を奮(ふる)ひ起して大刀を上段真向(まっこう)に振り冠(かむ)り...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...一言どさりと真向いに坐った...
横光利一 「旅愁」
...彼の心は真向(ひたむ)きだった...
吉川英治 「親鸞」
...料亭“喜文”の裏門の真向いで...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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