...一日の行楽に遊び疲れたらしい人の群れにまじってふきげんそうに顔をしかめた倉地は真向(まっこう)に坂の頂上を見つめながら近づいて来た...
有島武郎 「或る女」
...彼女はそれでも真向(まっこう)にフランシスを見守る事をやめなかった...
有島武郎 「クララの出家」
...前のごとく真向から鉱業停止の一途で大勢をささえることは...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...大本教イデオロギーを真向から取上げてムキになって非難しているのである...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...肩を掴(つか)んで真向(まむ)けに転がすと...
直木三十五 「近藤勇と科学」
...自分だけが真向から二つに斬られなくてはならなかった...
直木三十五 「南国太平記」
...真向から二つになるぞ」と...
直木三十五 「南国太平記」
...その門の真向いには...
中谷宇吉郎 「御殿の生活」
...また真向(まっこう)から切りつけるがごとく二の矢をついだ...
夏目漱石 「草枕」
...久太夫は貧苦で削ぎたった頬をひきつらせ、虚空を睨んでニヤリと笑い、「貧はすまじきもの」などと独語をいい、血走った眼で手代の顔を睨みつけていたが、「下郎め、うぬがために、終生の恥辱をとったぞ」と大喝するなり、手代の真向へ、やツとばかりに竹光の刃(は)を立てた...
久生十蘭 「ボニン島物語」
...あたしは山木の真向いへ坐って...
久生十蘭 「魔都」
...彼の真向かいのベッドだった...
北條民雄 「いのちの初夜」
...母屋(おもや)の藤棚が真向うに見えます...
堀辰雄 「美しい村」
...その真向うの小山のてっぺんから少し手前の松林にかけて...
堀辰雄 「楡の家」
...その男女の泊った部屋は廊下を隔てて支配人の室の真向うだったが...
牧逸馬 「土から手が」
...雲の懸からぬ山はないはじめに出した「潮来出島の真菰の中であやめ咲くとはしほらしや」の中にある出島(でじま)は直ぐ潮来町の真向いに見える小さい州の島で...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...人生と真向きに立っている妻の毅然とした力が感じられる...
宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
...遂に伝八を真向唐竹割...
山中貞雄 「恋と十手と巾着切」
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