...真向からきめつけると...
芥川龍之介 「妖婆」
...一日の行楽に遊び疲れたらしい人の群れにまじってふきげんそうに顔をしかめた倉地は真向(まっこう)に坂の頂上を見つめながら近づいて来た...
有島武郎 「或る女」
...道をへだてた真向うのT館から...
高見順 「如何なる星の下に」
...ひた向きな異性の熱情を真向(まとも)に感ずるのだった...
徳田秋声 「縮図」
...積極的に真向から主観(即ち意識・観念・等々)の優位を説く処の観念論は云うまでもなく...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...幸いにそれを真向(まっこう)から受ける相手がいない...
中里介山 「大菩薩峠」
...さうして此(この)変化は既に独逸が真向(まつかう)に振り翳(かざ)してゐる軍国主義の勝利と見るより外に仕方がない...
夏目漱石 「点頭録」
...わが現在の存在をも失うに至るべしとの恐ろしさが彼らを真向(まとも)に圧迫するからである...
夏目漱石 「マードック先生の『日本歴史』」
...真向いにパン屋の店があるのでした...
フランセス・ホッヂソン・バァネット Frances Hodgeson Burnett 菊池寛訳 「小公女」
...歌ごえは真向いの段々畑からばかりではなく...
久生十蘭 「生霊」
...真向からきた一弾に胸板を射ぬかれた...
久生十蘭 「うすゆき抄」
...あたしは山木の真向いへ坐って...
久生十蘭 「魔都」
...今にも真向(まっこう)から跳りかからんばかりの気勢を示したが...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
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逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...受話機を握つたまゝ横を向くと真向きの壁に懸つてゐるビールの広告鏡に全身が映つてゐるのに気づいた...
牧野信一 「心象風景(続篇)」
...真向正面より打ちてかかる...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...まだ真向(まむき)にこの御扉(みとびら)のうちへこそ向え」自分を叱咤して...
吉川英治 「親鸞」
...やがて真向いの校舎の二階から三十歳あまりのしとやかな婦人が私の声を聞きつけたと見えて降りて来た...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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