...三谷の椅子の真向うに...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...しかしながら私(わたし)は軍人風(ぐんじんふう)に真向(まっこう)に切出(きりだ)します...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六号室」
...海の方へ真向きに向って...
中里介山 「大菩薩峠」
...横に煽(あお)る風を真向(まむき)に切って...
夏目漱石 「虞美人草」
...秩序と云う事を真向(まっこう)に振翳(ふりかざ)さなければできない話である...
夏目漱石 「中味と形式」
...それが真向(まとも)に双方を了解できる聡明(そうめい)な彼の頭を曇らせる原因になった...
夏目漱石 「明暗」
...真向いの張り出しになったサン・ルームの窓を二十分ほども瞶めていますと...
久生十蘭 「キャラコさん」
...「今日は、いよいよ死ぬ日だ」この部屋の窓からも、真向いに、南画のような松をのせた赤い岩が見える...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...真向いの家の二階の窓にチラと人影がさしたと思うと...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...ちょうど旅館の真向いにある一軒の家に辿りつくと...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...私はその病体を厩の真向ひにあたる納屋の屋根裏に移すのであつた...
牧野信一 「剥製」
...先生!」ハルミが露路を隔てた真向きの窓から呼びかけるのであつた...
牧野信一 「真夏の朝のひとゝき」
...その四阿と真向きにあたる彼女の部屋にぱつと光りが点いた...
牧野信一 「まぼろし」
...真向(まっこう)から左の胴へ切返すもので...
山本周五郎 「花も刀も」
...真向から右胴へ、大きく跳躍し、くの字に身を沈めて...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...直ぐに真向うの事務員の一人を叱り飛ばした...
夢野久作 「オンチ」
...大崎の鼻が低く黒く真向ふに見えてゐる...
吉江喬松 「伊良湖の旅」
...那智の滝を真向かいとする奔流の前に立たせ...
吉川英治 「随筆 新平家」
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