...」第十三節 コヴェント・ガーデンの朝飯「考えて見ると話すだけの価値は無さそうだが、要するに、ある時コヴェント・ガーデンで朝飯を食っていたらね、僕の真向いに、まるで無言劇の野蛮人が使用する藁の腰巻みたいな、だらりと下った髭を生やした男がいてね、茶托からコーヒーを飲んでいるんだ...
石川欣一 「可愛い山」
...真向から正直に受取ってしまっては...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「鉄の処女」
...こんなやつと真向(まとも)に口利くことないんだ...
林不忘 「安重根」
...ライブージ村の教会の真向うに...
チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「女房ども」
...商人は婦人と弁護士の真向いに腰を下ろし...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...さうして此(この)変化は既に独逸が真向(まつかう)に振り翳(かざ)してゐる軍国主義の勝利と見るより外に仕方がない...
夏目漱石 「点頭録」
...拳は真向に口にあたり...
久生十蘭 「ノア」
...久太夫は貧苦で削ぎたった頬をひきつらせ、虚空を睨んでニヤリと笑い、「貧はすまじきもの」などと独語をいい、血走った眼で手代の顔を睨みつけていたが、「下郎め、うぬがために、終生の恥辱をとったぞ」と大喝するなり、手代の真向へ、やツとばかりに竹光の刃(は)を立てた...
久生十蘭 「ボニン島物語」
...」女は居住まひを直して男の真向(まむき)になつた...
平出修 「計画」
...いつもよりちかぢかと見える真向うの小山の上に捲き雲が一かたまり残っているきりだった...
堀辰雄 「菜穂子」
...その真向うの小山のてっぺんから少し手前の松林にかけて...
堀辰雄 「菜穂子」
...その真向うの小山のてっぺんから少し手前の松林にかけて...
堀辰雄 「楡の家」
...木兎は岡の真向きの籠の中でまん丸い眼玉を空しく光らせてゐた...
牧野信一 「心象風景(続篇)」
...柳の木の間から真向きにあたる川上の...
牧野信一 「バラルダ物語」
...忽ちまた真向うの...
シュミットボン Willhelm Schmidt-Bonn 森鴎外訳 「鴉」
...真向(まっこう)から左の胴へ切返すもので...
山本周五郎 「花も刀も」
...真向から吹きつける風のなかを...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...……あのゴンクールの銃先(つつさき)を真向(まとも)に見ながら...
夢野久作 「暗黒公使」
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