...御寮はちょうど私たちの真向うの席に就いた...
泉鏡花 「唄立山心中一曲」
...……真向うは、この辺一帯に赤土山の兀(は)げた中に、ひとり薄萌黄(うすもえぎ)に包まれた、土佐絵に似た峰である...
泉鏡花 「瓜の涙」
...何時でも具足に身をかためて真向から人を睨(ね)めつけてゐます...
伊藤野枝 「妾の会つた男の人人」
...真弘が真向二つに打ち割られて...
太宰治 「花吹雪」
...真向(まむ)かいの鍛冶(かじ)場で蹄鉄(ていてつ)を鍛える音...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...すぐ真向(まむかい)に立っている彼(か)の高い本願寺の屋根さえ...
永井荷風 「銀座」
...真向(まっこう)を突き落し撲り落す...
中里介山 「大菩薩峠」
...――小夜子は真向(まむき)に見える...
夏目漱石 「虞美人草」
...棒のようにどてらの真向うに突っ立てた時は...
夏目漱石 「坑夫」
...真向から私を信じて(空前のことだ...
牧野信一 「熱い風」
...籠の木兎の眼が真向きに陽を享けて爛々としてゐた...
牧野信一 「心象風景(続篇)」
...雨の日には丸窓の真向きにあたる茶室の細目にあけた障子の間から張番の眼を輝やかせてゐて...
牧野信一 「天狗洞食客記」
...滝次こらえて気が狂ったように真向から打下して来かかるのをかわしもしないでバッと足を払う間髪の差で滝次斬られてダッと横に倒れる...
三好十郎 「斬られの仙太」
...直ぐに真向うの事務員の一人を叱り飛ばした...
夢野久作 「オンチ」
...吾輩の鼻の頭と真向いになっている事で...
夢野久作 「超人鬚野博士」
...どんな敵と真向きになっても揶揄(やゆ)的に笑っていられる彼女が...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
...天辺まで行って、首を出した、と同時に、眼に這入ったのは、恰度真向うの、水蒸気を含んで、輝いている森の姿だった...
蘭郁二郎 「夢鬼」
...思いもかけずその顔へ真向から唾を吐きかけた...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
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