...氷のクサビについては別項「兇器としての氷」の「密室と氷片」に詳説したから、ここには省くが、ローソクの方は、受け金とカンヌキのあいだにローソクをはさんで、火をつけておくと、ローソクが燃えつきたときに、カンヌキがかかるという仕掛けだが、これは蝋(ろう)がその辺におちて残るので、発覚の危険が多い...
江戸川乱歩 「探偵小説の「謎」」
...今は余地がないから省くが...
戸坂潤 「思想としての文学」
...前置きを省くわけにはいかないんだよ...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...余り問題が特殊になるので本書では省くことにして...
中谷宇吉郎 「雪」
...本書の性質上省くこととする...
中谷宇吉郎 「雪」
...煩わしいからその細節は省くことにして...
久生十蘭 「魔都」
...トロヤ戦争余聞、木馬の腹に潜んで敵地に赴く決死隊の一員、勇士シノンに就いてのエピソードを挿入すると、この場の情景が鮮明になるのであるが、「シノンの芝居」は私が前の晩に森の中で大見得切つて演じた後であるから、省く...
牧野信一 「出発」
...詳細は省くが、僕もいよ/\仮装に就いての思案に耽り出して見ると、考へること/\が、悉く物資を要するものばかりで、それが儘にならず、僕は苛々として出場を見合せようとさへ思つたが、発案者の手前それもならず、困惑のあまり幾日も寝て暮すうちに日が迫り、或朝鏡を見ると頭髪もも蓬々として、恰も池の化物ニツケルマンのやうな様子に気づいたので、止むを得ずそのまゝ隣家よりボロ/\の野良着を借り出し棕櫚の枯葉を被り、泣き出したいやうな心地になつて、プレツケツケツリス/\、ギヤウ/\――と叫びながら会場に駆けつけると、歌で意味を知つてゐる村人は、非常に拍手して僕を迎へ、娘共は皆なラウデンデラインになりたがつて、僕に追ひ廻されるのを喜び――他の、源頼政も、白井権八も国定忠次もテルテ姫も切ラレ与三郎も――皆なテレてしまつたといふ気の毒を醸し、加けに僕が一等賞に推されて金貨を獲得してしまつたのである...
牧野信一 「途上日記」
...自分にとつては小説的どころではないが或る意味で小説的な誘惑を強ひられるか? 何故自分が斯んなにも浅猿しい亢奮をするか? の記述は省くが...
牧野信一 「冬の風鈴」
...それがどうして斯うなつたかの説明は省くつもりだ...
牧野信一 「貧しき日録」
...この歌のために謀(はか)るに最上の救治策は「いざや子ら」の一句を省くに如かず...
正岡子規 「墨汁一滴」
...自分一人が手数を省くために亭主や小供やお負けに自分の胃腸までがどれほど余計な手数をかけるか更に頓着ない...
村井弦斎 「食道楽」
...片端だけを例の至らぬ筆者が写しておくのもやましい気がしてすべてを省くことにした...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...文は例の如くであるから省く...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...詩は省く...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...しかし其受業の師は前に載せたから今省く...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...少しは後の人の捜索の労を省くであろうし...
柳田国男 「海上の道」
...これらについては『改造』十周年号に千葉亀雄氏が批評したものと重複するからここに省くこととする...
山本実彦 「十五年」
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