...新蔵は益々ふさぐ一方で...
芥川龍之介 「妖婆」
...固より趣味の程度が違つてゐるから、自分のいふ所多くは先生の考と一致しない、先生のいふ所又一寸分らぬことが少くない、それで質問される、質問する自分の非なることが直ぐ分る時と分らぬ時がある、分らぬ時は自ら衝突する、自分にも負惜みがあるから、右へ逃げ左に逃げ種々にもがきながらも、隨分烈しき抗辨をする、こうなると先生の頭はいよ/\さえてくる、益々鋭利になる、相手を屈服させなければ止まぬといふ勢で、鐵でも石でも悉く斷ち割るべきケンマク、そこまでくると降伏し樣にも降伏もさせない、骨にシミル樣な痛罵を交じへられる、こんな時には畏しく悲しくなることがある、先生は一面に慥に冷酷な天性を持つてゐらるゝなどゝ感ずるのは如斯塲合にあるのであツた...
伊藤左千夫 「竹の里人 一」
...どうしてこんな巧い事をいえるだろうと益々(ますます)感服した...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...然るにまた一方には物質上の逼迫(ひっぱく)がヒシヒシと日に益々加わって来た...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...その度数を重ねれば重ねるだけ乱は益々(ますます)長ずるばかりだといっている...
大隈重信 「永久平和の先決問題」
...明晩明後日と益々イヤになるでしょう...
太宰治 「虚構の春」
...渡良瀬川水源の樹木を濫伐すること益々多く...
田中正造 「公益に有害の鑛業を停止せざる儀に付質問書」
...それ自身の内に自分を益々強めて行くという構造を含んでいる...
戸坂潤 「科学論」
...そしてアカデミー的学芸に対するジャーナリズムの優勢――之も亦資本が他の格子戸を通った屈折光なのだが――によって益々促進されて今日に至っている...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...其の結果として内治外交の機関益々停滞して内閣の威信愈々降らむ...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...益々寄りそってきた...
豊島与志雄 「潮風」
...益々喉元にぐっぐっとこみ上げてきた...
豊島与志雄 「人の国」
...近藤のために多々益々(たたますます)弁ずるという次第であります...
中里介山 「大菩薩峠」
...曲者の写真を手に入れて益々その考えを強めました」「曲者の写真?」園田氏も千種も...
野村胡堂 「女記者の役割」
...益々(ますます)悔んでいる様に見えた...
水上滝太郎 「遺産」
...「そうなのさ」母は益々不機嫌に...
宮本百合子 「海浜一日」
...この様子を見ると王は益々勢(いきおい)込んで青眼の前に一歩(ひとあし)進み寄りながら...
夢野久作 「白髪小僧」
...Q川の浸蝕力は益々緩漫になつて来た...
横光利一 「静かなる羅列」
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