...シャンペンをついで盆を葉子のほうにさし出した...
有島武郎 「或る女」
...月もなく、日もなく、樹もなく、草もなく、路(みち)もない、雲に似て踏みごたえがあって、雪に似て冷(つめた)からず、朧夜(おぼろよ)かと思えば暗く、東雲(しののめ)かと見れば陰々たる中に、煙草盆、枕、火鉢、炬燵櫓(こたつやぐら)の形など左右、二列(ふたなら)びに、不揃(ぶぞろ)いに、沢庵(たくあん)の樽(たる)もあり、石臼(いしうす)もあり、俎板(まないた)あり、灯のない行燈(あんどう)も三ツ四ツ、あたかも人のない道具市...
泉鏡花 「伊勢之巻」
...大きな盆にすましスープの茶碗をたくさんならべ...
滝沢敬一 「ブイヨン・ドンゾール」
...女が小さなコップに半分ぐらい入れた微赤(うすあか)い液体を盆に乗せて持って来ていた...
田中貢太郎 「雑木林の中」
...前桐(まえぎり)の安箪笥(やすだんす)と化粧鏡と盆に載せた茶器の外には殆(ほとんど)何にもない...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...ちょっと人から賞めてもらう盆栽...
永井隆 「この子を残して」
...「えらい景気だな」「えらい景気でございます、けれども、上方(かみがた)のえいじゃないかはこれどころではございませんな」「左様、あれに比べると、まだこっちの方が穏かだな」「いったい、近頃は関東よりも、上方の方が人気が荒くなりました」「そうかも知れない、いったい、あのえいじゃないか騒ぎはどこから起ったものだ」「どこから起ったか存じませんが、神様のお札が、天から降って来たのが始まりだそうでござんすよ、それで忽(たちま)ちあんなことになってしまいました、盆踊りのように、時を定めて踊るんならようございますが、朝であろうが、昼であろうが、稼業(かぎょう)が忙しかろうが、忙しかるまいが、踊り出したが最後、気ちがいのようになってしまうのですから手がつけられません...
中里介山 「大菩薩峠」
...楓林(ふうりん)仕立ての盆栽の邪魔な枝を一つチョンと剪(き)りました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「何をツ」煙草盆を取つて投げ付けました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...お盆の上にこぼれてゐた水...
原民喜 「鎮魂歌」
...日の出だ! 大きく盆のようなのが...
ガールシン 二葉亭四迷訳 「四日間」
...それを蝋燭と一緒にお盆の上に置いた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...甲州の山ん中から来た男だ……そいつが歌いだして――盆踊りの歌だっていってた……みんな...
三好十郎 「胎内」
...この盆は俺が貰った!」と言ってバッと躍り込んだのと一緒でした...
三好十郎 「天狗外伝 斬られの仙太」
...八畳敷に三盆白の砂糖を三尺嵩に積ンで月に三度づつ五十人の芸妓を丸裸のまゝ相撲を取らすといふたはけは...
村上浪六 「上方者の啖呵」
...日光土産には盆(ぼん)があって...
柳宗悦 「手仕事の日本」
...お盆になると少年が閻魔堂(えんまどう)に詣るのも...
柳田國男 「日本の伝説」
...必ず盆をくつがえすような大雨が襲ってきた...
吉川英治 「三国志」
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