...」老女は紅茶の盆(ぼん)を擡(もた)げながら...
芥川龍之介 「影」
...旧の盆過ぎで、苧殻(おがら)がまだ沢山あるのを、へし折って、まあ、戸を開放しのまま、敷居際、燃しつけて焼くんだもの、呆れました...
泉鏡花 「開扉一妖帖」
...その傍にいた婢(じょちゅう)がお給仕の盆を差しだした...
田中貢太郎 「蠅供養」
...オ静ガ二人分ノ茶ト菓子ヲ盆ニ載セテ持ッテ来ル...
谷崎潤一郎 「瘋癲老人日記」
...瑠璃色(るりいろ)のタイルで張られた露台に置き駢(なら)べられた盆栽が...
徳田秋声 「仮装人物」
...盆栽の葉を撫(な)でながら...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...火をつけるたびに煙草盆の方を鼻の先までつるし上げるのがこの男の癖と見えます...
中里介山 「大菩薩峠」
...頭巾の女は「さあ皆さんどうですか」と左の手に盆を持つた儘敷島を出して膝の上の煙草盆から火を點けた...
長塚節 「教師」
...銀盆はポコリと外れて...
野村胡堂 「古銭の謎」
...「盆と正月と、こはし屋と毆(なぐ)り込みと一緒にけしかけたやうなものですね」「その騷ぎの中で、達者な女が一人殺されて、念入に往來から見透(みとほ)しの欄干に、暮の鹽鮭のやうに逆樣に吊されて居たといふぢやないか」「これは死體を引摺つた跡でせうね」階子段の口から部屋を横切つて、手摺のところまで、血潮の上を引摺つた、着物の跡がはつきり附いて居ります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「なるほど、盆だ...
葉山嘉樹 「山谿に生くる人々」
...――お盆が近いので何かと世間では騒ぎ出していた...
堀辰雄 「かげろうの日記」
...歌あ歌って盆踊りを踊り出す始末だ...
三好十郎 「樹氷」
...第一に盆の景物の中で最も花やかなもの...
柳田国男 「年中行事覚書」
...中元ならお盆の用途や女房子のために浴衣の一枚ずつも買ってやったりしていたのである...
吉川英治 「美しい日本の歴史」
...笠取(かさとり)の盆地から...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...二盆おくれ――」呶鳴っておいてから...
吉川英治 「宮本武蔵」
...やれ彼岸(ひがん)の盆のと――小さな生活を忙しく派手に――悲しみの葬式や病人の世話事までも...
吉川英治 「宮本武蔵」
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