...霜も降るべく鋼鉄色(はがねいろ)に冴えた空には白々と天の河が横(よこた)はつた...
石川啄木 「赤痢」
...真近かな樺の木の白々とした幹が数本と...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「接吻」
...月の光を正面から白々(しらじら)と受けて...
豊島与志雄 「人間繁栄」
...辰代は自分の余(あんま)りな白々しさが胸にきて...
豊島与志雄 「変な男」
...もう白々と夜が明けていた...
豊島与志雄 「林檎」
...会って下さらない」「兵馬――兵馬とは誰だ」「ほんとに白々しい...
中里介山 「大菩薩峠」
...白々とした廢墟の姿は日本人の本當の告白を表現してゐるやうでもある...
林芙美子 「雨」
...白々と明るいのでアダリンのむ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...」その時分は何を聞いても白々しかつたが...
牧野信一 「早春のひところ」
...俺が若し反対すれば彼奴は直ぐにでも白々しくなれるといふ風な質だからね...
牧野信一 「波の戯れ」
...決して当り前の口を利いたこともない白々しさで...
牧野信一 「剥製」
...どうしてこんなに白々しくお扱いになりますか」とだけ伏し目になって言った...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...ドウゾそのおつもりで……という白々しい口上だったそうだ...
夢野久作 「空を飛ぶパラソル」
...一つは地中海の文化の中心を造っているスフィンクスの白々しい微笑と簡素な伊勢大廟の鳥居とである...
横光利一 「スフィンクス(覚書)」
...閨も白々としてくるうちに何のご屈託もないかのような寝息に入った帝のお寝顔を見ながら...
吉川英治 「私本太平記」
...いつのまにか白々と朝凪(あさなぎ)をたてている...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...…………白々と夜の明けてきたころだった...
吉川英治 「親鸞」
...残(のこ)んの月はまだ白々としていて少し樹々に霧は立(た)ち初(そ)めたが...
吉川英治 「宮本武蔵」
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