...そこからやりどころのない悲哀と疳癪(かんしゃく)とがこんこんとわいて出た...
有島武郎 「或る女」
...なんぞいう奴が多いから癪(しゃく)に触る...
押川春浪補 「本州横断 痛快徒歩旅行」
...Yは僕等のこんな生活でも時々はやはり癪に障るんだよ...
伊藤野枝 「ある男の堕落」
...あなたは第一女と云ふものを軽蔑してかゝつてゐらつしやいますから癪に障(さわ)るのです...
伊藤野枝 「編輯室より(一九一四年一月号)」
...癇癪まぎれの最後の手紙として...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...雨中をどろ下駄の重みが癪にさはり...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...けっきょくその言う通りになったのは俺としてちょっと癪(しゃく)だったけれど...
高見順 「いやな感じ」
...一方の桟敷から誰かが何か云ったのがその親分の癪(しゃく)に触ったものだと見える...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...私はこめかみにぴりぴりと癇癪筋のたつのをおぼえたがその大和魂をとりだしてみせることもできないのでそのまま顔を赤くして黙つてしまつた...
中勘助 「銀の匙」
...彼人(あのひと)の顔を見るたんびに阿母(おっかさん)は疳癪(かんしゃく)が起ってね...
夏目漱石 「虞美人草」
...おれが癇癪持と来ているから...
夏目漱石 「行人」
...ええ、癪だな、畜生!間抜けた汽笛なんか気にすることあねい...
波立一 「五月一日」
...三人まで人を殺そうとたくらむ男のすることじゃない」庄兵衛は癇癪を起して...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...何と親父の奴が舌を捲いて仰天することだらう! それにしても今迄いろ/\なことで癪に触つてゐるから...
牧野信一 「スプリングコート」
...癇癪というものはそれをおこす理由がある者においてもそうでない者においても...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...堪え忍んだ肝癪(かんしゃく)を破裂させた...
山下利三郎 「誘拐者」
...迎えを重ねるのも癪(しゃく)なので不問にしていた...
吉川英治 「三国志」
...雪の夜道に倒れて癪(しゃく)に苦しむ女として描いた...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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