...この神経痛と思ったものが実は後に島木さんを殺した癌腫の痛みに外ならなかったのである...
芥川龍之介 「島木赤彦氏」
...二人の上に癌腫の樣に祟(たゝ)つてゐた經濟の苦しみが初めてこれで救はれた...
田村俊子 「木乃伊の口紅」
...(明治四十年十月二十八日『東京朝日新聞』)二十八癌腫(がんしゅ)の研究英国では帝室の保護の下に癌の研究のみをやっている所がある...
寺田寅彦 「話の種」
...やっかいな癌腫(がんしゅ)はそういう反逆者の群れでできるものらしい...
寺田寅彦 「破片」
...国家という有機体にも時々癌腫が発生する...
寺田寅彦 「破片」
...耳にコールタールを塗って癌腫(がんしゅ)の見本を作られたりする...
寺田寅彦 「病院風景」
...六然しながら彼(かの)癌腫(がんしゅ)の様な家の運命は...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...彼女は癌腫の様な石山新家を内から吹き飛ばすべき使命を帯びて居るかの様に不敵(ふてき)であった...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...一つの怪物である――他人をかじってる人間の癌腫(がんしゅ)である...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...揚子江は常に経済的条虫であり上海は常に経済的癌腫だとの状態が...
豊島与志雄 「中支生活者」
...癌腫(がんしゅ)の持つ特有の悪臭が放散されていた...
葉山嘉樹 「淫賣婦」
...癌腫(がんしゅ)らしい分泌物(ぶんぴぶつ)との臭気は相変らず鼻を衝(つ)いた...
葉山嘉樹 「淫賣婦」
...癌腫の疑いを残すが多く...
久生十蘭 「玉取物語」
...親譲りの癌腫というぬきさしのならない宿命にたいする崇高なレジスタンスなんだと自分では信じている...
久生十蘭 「肌色の月」
...咽頭(いんとう)の癌腫(がんしゅ)のために急に亡(な)くなったと云うことである...
森鴎外 「二人の友」
...癌腫(がんしゅ)には違いないが...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...つまり膵臓(すいぞう)に初発した癌腫だ」と去定が云った...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...いつか膵臓(すいぞう)の癌腫(がんしゅ)で死んだ患者があったとき...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
便利!手書き漢字入力検索