...金瓶梅(きんぺいばい)が古今(ここん)無双の痴情小説たる所以(ゆゑん)は...
芥川龍之介 「雑筆」
...禍福に痴情を起こさず...
井上円了 「おばけの正体」
...痴情(ちじょう)の怨(うら)みか何にかでお由を殺した最初の犯人が...
海野十三 「白蛇の死」
...筋は、痴情の復讐から、ある女とその愛人を殺したうえ、しかも処罰をまぬがれるために、狂人をよそおい、さて目的をはたして、精神病院に入れられてから、自分はにせの狂人のつもりでいるがしかしそれはとんでもない思い違いで、ほとうに発狂しているのではないかという恐ろしい疑惑に責められる心理をえがいたものである...
江戸川乱歩 「探偵小説の「謎」」
...または軍人の妻女が良人出陣の砌(みぎり)に痴情の涙を湛(たた)えて離別を惜しむと...
大隈重信 「国民教育の複本位」
...警察が双生児(ふたご)に持たせた犯罪の痴情的動機を...
大阪圭吉 「石塀幽霊」
...だが何分にも敵の多い春琴であったからまだこの外(ほか)にもどんな人間がどんな理由で恨(うら)みを抱(いだ)いていたかも知れず一概(いちがい)に利太郎であるとは断定し難いまた必ずしも痴情(ちじょう)の沙汰(さた)ではなかったかも知れない金銭上の問題にしても...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...この犯罪は積年の痴情のもつれの結果であり...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...楚の項羽が、虞美人を抱いて泣き、本朝では、源九郎と、静の故事(ふるごと)など――外に向っては、天下の経綸を論じ、且、行うのは、大丈夫(だいじょうふ)の本懐なり、又、使命でもござりまするが、内へ入って、喃々(なんなん)と、惚れた女の手玉にとられるのも、人間、男女の、生れた時よりの大道で、天下を救うのと、その是非、その大小、必ずしも、痴情を、卑しむことはできませぬ」「それで――」左源太は、うるさそうに、冷たく云った...
直木三十五 「南国太平記」
...皆痴情(ちじょう)のためにその身を亡し親兄弟に歎をかけ友達の名を辱(はずかし)めたる事時人(じじん)の知るところなり...
永井荷風 「桑中喜語」
...宛(さなが)ら山吹の花の実もなき色香を誇るに等しい放蕩(ほうとう)の生涯からは空しい痴情(ちじょう)の夢の名残はあっても...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...痴情に溺惑して妻子を捨てた挙句...
永井荷風 「来訪者」
...日夜数人の未婚の青年を集めて痴情に耽っていた...
中島敦 「南島譚」
...痴情関係に相違ないと思いこんで居る様子で...
野村胡堂 「呪の金剛石」
...昨夜の痴情の為か...
林芙美子 「浮雲」
...固より嫉妬の痴情に駆らるゝものに非ず...
福沢諭吉 「女大学評論」
...全体に痴情事件らしく見えながら...
夢野久作 「S岬西洋婦人絞殺事件」
...痴情の殺人と申すのは違っとる」「左様でしょうか」「下手人は両刀を帯びた侍...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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