...媼は痩せたる臂(ひぢ)さし伸べて...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...彼等の衣服は汚れて居るが變に美くしい泥がついても美くしさを失はない動物のやうに左ぎつちよの少年は青白い病身さうな痩せた弱々しい顏だが...
千家元麿 「自分は見た」
...三十歳くらゐの痩せた遊女が...
太宰治 「富嶽百景」
...彼女の痩せた顔の輪廓もおぼろになって...
モーリス・ルヴェル Maurice Level 田中早苗訳 「碧眼」
...痩せた上に黒く日焼けがし...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...彼女は痩せた頬に弱々しい微笑を浮べた...
豊島与志雄 「幻の彼方」
...医者が「とにかく、御本復なされて――」玄白斎は、黙って、痩せた手で、仁十郎の手と、市助の手とを、狂人のように打ち払った...
直木三十五 「南国太平記」
...その痩せた手のやうなものが無数に嘉吉の周囲からつかみかゝつて来る...
林芙美子 「朝夕」
...痩せた男との三人づれだつた...
堀辰雄 「ふるさとびと」
...けれども戦前に比ぶれば食の関係で多少痩せた事は事実である...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...節は人麻呂は痩せたる人に相違なけれどもその骨格に至りては強く逞(たくま)しき人ならむと思ふなりといふ...
正岡子規 「病牀六尺」
...痩せた頬殺(ほゝそ)げした顔は蒼く...
眞山青果 「茗荷畠」
...綾小路は背をあぶるように、煖炉に太った体を近づけて、両手を腰のうしろに廻して、少し前屈みになって立ち、秀麿はその二三歩前に、痩せた、しなやかな体を、まだこれから延びようとする今年竹(ことしだけ)のように、真っ直にして立ち、二人は目と目を見合わせて、良(やや)久しく黙っている...
森鴎外 「かのように」
...痩せた背の高い男で...
山本周五郎 「季節のない街」
...細ながい、痩せた、神経のむきだしになっているような顔が、ふとべそをかくように歪んだ...
山本周五郎 「山彦乙女」
...今しも痩せたる一人の行者は...
吉川英治 「剣難女難」
...遠く針のように痩せたかと思うと一瞬にして眼一杯に立ち拡がり...
蘭郁二郎 「夢鬼」
...実に恐ろしい痩せた半ば裸の死体が横たわっていた...
モーリス・ルプラン 菊池寛訳 「奇巌城」
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