...けれども粟野廉太郎(れんたろう)には何の痛痒(つうよう)をも与えないであろう...
芥川龍之介 「十円札」
...既(すで)に現世を超越せる者に取りては畢竟(ひつきやう)何の痛痒(つうやう)をも感ずる者にあらざる也...
石川啄木 「閑天地」
...痛痒(いたがゆ)い舌ざはりを顔ぢゆうに感じた...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...此懲罰すら彼に於ては何の痛痒をも感ぜざりしに似たり彼は尚ほ選擧區に歸りて再選を要求したればなり...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...而も閣下は此の法案の貴族院に否決せらるゝを見て痛痒の表感なかりしのみならず...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...いつ断わられたところで敢(あえ)て痛痒(つうよう)を感ずるわけではないけれど...
中里介山 「大菩薩峠」
...要するに元日及び新年の実質とは痛痒相冒(つうようあいおか)す所なき閑事業である...
「元日」
...土人の使用する毒のついた矢でなければ痛痒を感じなくなつてしまつた...
牧野信一 「「悪」の同意語」
...むしろ小気味の好い痛痒を感じたが...
牧野信一 「心象風景(続篇)」
...笑ふべきものとは他人に何等の痛痒も害毒をも与へぬ底の過失或ひは醜さであるならん...
牧野信一 「嘆きの谷で拾つた懐疑の花びら」
...別段私は痛痒も感ずる筈もなく獲り逃した蝶々の方が遥かに悩ましい夢であつた...
牧野信一 「るい」
...富国の農業者は割合にほとんど痛痒を感じない場合もあろう...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...尚侍(ないしのかみ)は大将の来ないことで何の痛痒(つうよう)も感じていないのに...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...痛痒い気持になることであろう...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...一種の痛痒(いたがゆ)い感情がわいてきて...
山本周五郎 「めおと蝶」
...果して何の痛痒(つうよう)も感じないのだろうか...
横光利一 「夜の靴」
...光秀には何となく痛痒(いたがゆ)い気がした...
吉川英治 「新書太閤記」
...なんらの痛痒(つうよう)もおぼえていない...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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