...その胸の内なる痍(きず)は早くも愈(い)えて跡なきに至りしものなるべし...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...アノ時甚(どんな)に恋しくなつかしく思はれたらう! 母の額に大きな痍(きず)があつた...
石川啄木 「病院の窓」
...今御身が痍を見るに...
巌谷小波 「こがね丸」
...誰か痍(はなみず)をすする者がある...
海野十三 「浮かぶ飛行島」
...胸に傷痍(しょうい)軍人の徽章(きしょう)をつけている...
太宰治 「雀」
...さうした生やさしい心の傷痍ではなかつた...
田山花袋 「道綱の母」
...それに痍(きず)もまだ充分ではなかった...
徳田秋声 「仮装人物」
...豆粒位な痍のあとがある...
長塚節 「痍のあと」
...然しながら教育者として僅に一年で辭し去るといふことが私の良心に創痍を蒙らしめねばなりません...
長塚節 「教師」
...勘次(かんじ)は彼(かれ)の輕微(けいび)な瘡痍(きず)を假令(たとひ)表面(へうめん)だけでも好(い)いから思(おも)ひ切(き)つて重(おも)く見(み)てさうして彼(かれ)に同情(どうじやう)の言葉(ことば)を惜(をし)まないものを求(もと)めたが...
長塚節 「土」
...勘次(かんじ)は心(こゝろ)から漸(やうや)く其(そ)の瘡痍(きず)を勦(いたは)つた...
長塚節 「土」
...寧(むし)ろ自分(じぶん)の瘡痍(きず)の經過(けいくわ)でも聞(き)くやうに卯平(うへい)の枕(まくら)へ口(くち)をつけていつた...
長塚節 「土」
...「俺(お)ら白(しれ)え藥(くすり)貼(は)つたんだぞ」與吉(よきち)は先刻(さつき)から油(あぶら)を塗(ぬ)つた卯平(うへい)の瘡痍(きず)に目(め)を注(そゝ)いで居(ゐ)てかう突然(とつぜん)にいつた...
長塚節 「土」
...この優雅(エレガント)な盲目の青年が名誉ある傷痍兵士だとは...
久生十蘭 「キャラコさん」
...受けた痍(きず)あとがそんなに簡単に治るもんですか...
室生犀星 「蜜のあわれ」
...同志のうちで其場に残つたのは深痍(ふかで)を負つた柳田一人であつた...
森鴎外 「津下四郎左衛門」
...金の家で痍の手当をして行こう」蹌踉(そうろう)と訪ねあてて...
吉川英治 「三国志」
...残る人々もすべて満身創痍(そうい)を負って...
吉川英治 「新書太閤記」
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