...病苦もために忘れけり...
巌谷小波 「こがね丸」
...私は漸く妹の病苦よりも金銭を先に云う彼が憎くなってきた...
「草藪」
...地獄の文学というのは畢竟(ひっきょう)、極楽の世界を望見して到底あの世界に達することは出来ない、唯(ただ)病苦、貧困、悪魔の跳梁(ちょうりょう)に任していなければならぬ苦しい世界があるのみと感ずるところに出発する...
高浜虚子 「俳句への道」
...憤怒をもって処置されたその病苦は慈愛をもって処置されるだろう...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...氏が病苦の増し気短くなると共に一層この衝突を起しやすい...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...即ち病苦中の産物である...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...ただ末期(まつご)をらくにするために思いきり注射した麻酔剤がきいてるあいだの昏昏(こんこん)とした眠りから醒(さ)めたときに母は奇蹟的に元気を恢復(かいふく)した、病苦もなく、浮腫もへり、脈も呼吸もよくなり……蘇(よみがえ)ったように、しかし結局は寿命はないのだけれど...
中勘助 「母の死」
...お前の病苦がじかに感じられて...
原民喜 「画集」
...病苦はあのとき家の棟をゆすぶつた...
原民喜 「鎮魂歌」
...人間の病苦や六道三世の因果の理を示したものであろうか...
久生十蘭 「玉取物語」
...併し乍ら痩せ細って日夜病苦に呻吟する良人を...
細井和喜蔵 「女給」
...普通の病苦の上に...
正岡子規 「病牀六尺」
...ただ病苦の中で拝任の表だけを草して奉った...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...病苦の上に更に彼らの薬の苦(にが)さを加えようとはしなかった...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...病苦に対する忍耐の欠如...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...病苦に懊む病人が醫者から醫者へ轉々として移り歩くのと同じであつた...
横光利一 「悲しみの代價」
...半兵衛もいつか病苦を忘れているかのようであった...
吉川英治 「新書太閤記」
...病苦を怺(こら)えて使いに来た御身の誠意を買って...
吉川英治 「新書太閤記」
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