...吉野は病める智恵子と共に渋民を去つた...
石川啄木 「鳥影」
...今突然それを放棄しなければならぬとは一體何を吾々がしたのか?10.不撓不屈の精神は常に病める虚弱な肉體の中に宿つてゐたといふことは統計的事實である...
關口存男 「新獨逸語文法教程解説」
...あの哀調は病める旅人の愁をそゝるに十分だ...
種田山頭火 「行乞記」
...――梅干の味が病める身心にうれしいのである...
種田山頭火 「其中日記」
...病める妻には、それといわねど、浪子が病みて地を転(か)えしより、武男は帰京するごとに母の機嫌(きげん)の次第に悪(あ)しく、伝染の恐れあればなるべく逗子には遠ざかれとまで戒められ、さまざまの壁訴訟の果ては昂(こう)じて実家(さと)の悪口(わるくち)となり、いささかなだめんとすれば妻をかばいて親に抗するたわけ者とののしらるることも、すでに一再に止(とど)まらざりけるなり...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...話聞く聞く病める姪(めい)の顔...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...それとともに彼の病める魂からは...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...彼女は彼にとって「光り輝いた顔をしてる親愛な病める傷(いた)ましい友」であった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...アンドレ・シェニエの病める若者という悲歌の末句だ...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...病める魂の所有者と孤独者との寂しいなぐさめである...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...肺病める夫婦、そんな風な想像から彼女は好んで悩しい甘美な感情を味った...
原民喜 「淡雪」
...何か心安らかにその村へ自分の病める身を托(たく)して行ける気持ちにさせた...
堀辰雄 「菜穂子」
...病める枕辺(まくらべ)に巻紙状袋(じょうぶくろ)など入れたる箱あり...
正岡子規 「墨汁一滴」
...病める心のことであって...
三木清 「語られざる哲学」
...病める蘭軒を慰むるものは...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...推するに病める蘭軒は数(しば/\)駕を命ずることの煩はしきに堪へなかつたのであらう...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...病める父と病める母が交る交る抱いて明しましたのも幾夜でしょう...
矢田津世子 「旅役者の妻より」
...流行(はやり)の風(かぜ)に三人(みたり)まで我児(わがこ)ぞ病める...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
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