...繁は何か口疾(くちど)に囁いた...
石川啄木 「葬列」
...弾丸のように疾駆していった...
海野十三 「蠅男」
...フエオドロヰチもう私(わたくし)は疾(と)うから這麼事(こんなこと)になりはせんかと思(おも)つてゐましたのさ...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六號室」
...パンドラの箱の中には、疾病、恐怖、怨恨、哀愁、疑惑、嫉妬、憤怒、憎悪、呪咀、焦慮、後悔、卑屈、貪慾、虚偽、怠惰、暴行などのあらゆる不吉の妖魔がはひつてゐて、パンドラがその箱をそつとあけると同時に、羽蟻の大群の如く一斉に飛び出し、この世の隅から隅まで残るくまなくはびこるに到つたといふ事になつてゐるが、しかし、呆然たるパンドラが、うなだれて、そのからつぽの箱の底を眺めた時、その底の闇に一点の星のやうに輝いてゐる小さな宝石を見つけたといふではないか...
太宰治 「お伽草紙」
......
富永太郎 「無題」
...寧樂 一浪華三十日の旅寢、このたびは二度目の觀風なれば、さまでに目新らしくも思へず、東とはかはれる風俗など前よりは委しく知れる節もあれど、六十年の前に人の物せる「浪華の風」といふ一書、温知叢書の中に收められしといたく異なれりと見えざるは、世の移りかはり、疾しといへば、疾きが若きものから、又遲しといへば遲くもあるかな、面白かりしは此の間兩度の寧樂行なり...
内藤湖南 「寧樂」
...名古屋第一等の美人の極めは疾(と)うの昔...
中里介山 「大菩薩峠」
...あの秀吉が疾風迅雷で中国からかけつけて...
中里介山 「大菩薩峠」
...來いツ」平次は疾風(しつぷう)の如く飛びました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...そして脊髄の疾患で立ち居が不自由になつた...
平出修 「二黒の巳」
...只何か口疾(くちばや)に囁(ささや)いた様子で...
二葉亭四迷 「浮雲」
...初日の夜疾走(ママ)し...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...何うやら桑港のほうへ向けて疾駆し去ったらしいというのである...
牧逸馬 「土から手が」
...「ドリヤンとリリーとラツキーが僕達の所有になつて――そして騎手が三人……」「それではね――」堀口が疾る胸を強いて圧し鎮めるかのやうな落着いた見得を切つて口を開いた...
牧野信一 「南風譜」
...前方から疾走してきた自動車と衝突し...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...吾公嬰疾辞職」云云と云つてあるからである...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...浜松城の方から疾駆して来た二十五六騎の一隊が...
山本周五郎 「死處」
...馬は武士を乗せたまま西へと疾走した...
山本周五郎 「風流太平記」
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