...立ち上るや否や、茨(おどろ)の髪をふり乱して、帯もしどけなく、片手に懐中(ふところ)の児を抱き、片手を高くさし上げ、裸足(はだし)になつて駆け出した、駆け出したと見るや否や、疾風の勢を以て、かの声無く静かに練つて来る葬列に近づいた...
石川啄木 「葬列」
...飛行機の黒い大きい影が疾風(しっぷう)のように地面をかすめ去った...
梅崎春生 「桜島」
...最初の一発!疾風のように...
江森盛彌 「赤兵の歌」
...御身も疾ぐより心を寄する由...
高山樗牛 「瀧口入道」
... 25疾く大海に流すべく絶えず豪雨を降らしむ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...毫(がう)も其(そ)の力(ちから)を落(おと)さぬ疾風(しつぷう)は雜木(ざふき)に交(まじ)つた竹(たけ)の梢(こずゑ)を低(ひく)くさうして更(さら)に低(ひく)く吹靡(ふきなび)けて居(を)れど棟(むね)はどうしても見(み)えなかつた...
長塚節 「土」
...すると先方ではもう疾(と)くに彼の姿を凝(じっ)と見詰めていた...
夏目漱石 「道草」
...お島の父親が『疾風』と解ったよ」「ヘエ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...今持つてゐる意識を最つと高くし最つと良くするためにも此疾患を追ひ出してしまひたいとする心持! この一巻の詩の精神は...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...舵のところにまっすぐに立った男の両手の動きに従いながら一直線に疾走していく...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「火夫」
...かえって真の疾病でないことをさとらせるのです...
久生十蘭 「ハムレット」
...其疾苦を軽減し其福利を増進するに勉むるは...
慶応義塾 「修身要領」
...疾うにフリント市のジェネシイ郡警司(シェリフ)フランク・グリイン氏の事務所に自動車を乗りつけて...
牧逸馬 「双面獣」
...眼疾き若猴が漿果多き木を見付け貪(むさぼ)り食うを見るや否や...
南方熊楠 「十二支考」
...疾風の如く兵を転じていた...
吉川英治 「三国志」
...――疾(と)く疾(と)くお帰りあれ...
吉川英治 「三国志」
...再度のお怒りが降らぬうち、疾(と)く、疾く蜀へ帰り給え」すると張松は、その低い鼻の穴から、ふふふと、嘲笑をもらした...
吉川英治 「三国志」
...きっとこんな疾風雲(はやてぐも)が通るのです」と...
吉川英治 「宮本武蔵」
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