...『かりにも友達が貴様のやうな穢多に疵(きず)つけられたのを其の儘(まま)にして置くことが出来るものか...
伊藤野枝 「火つけ彦七」
...青い顔に赤い疵が目立った...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「鳩つかひ」
...その珠のやうな恋心に疵(きず)をつけるのは堪らないといふその君の心はわかつてゐるけれども...
田山録弥 「ひとつのパラソル」
...それは圓滿具足した貴い器の一つのきずと申せば疵で御座いますけれど...
田山花袋 「道綱の母」
...それからどうした?」私も何だか古い焼疵(やけど)を触られるような心持がして...
近松秋江 「雪の日」
...見よ金笏の打おろす肩は血にしむ疵の痕...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...火炉の灰を疵口へつけて...
直木三十五 「南国太平記」
...全くの無疵(むきず)で...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...その街が何ごともなく無疵(むきず)のまま残されること...
原民喜 「壊滅の序曲」
...伯父様に疵(きず)のつかぬやう...
樋口一葉 「大つごもり」
...疵は小指の先を少しかすりて...
一葉 「暗夜」
...余(あんま)り身体(からだ)に疵(きず)の……」「いや...
二葉亭四迷 「浮雲」
...出来た疵が治らぬやうに注意すると共に...
北條民雄 「癩院記録」
...今度はリバーノオルなり何なりをつけて疵を治してしまへばよいのである...
北條民雄 「癩院記録」
...視線が変ったと共にガラスの疵(きず)の具合も変ったので...
正岡子規 「ランプの影」
...疵物なぞを安く割引して売るために...
松永延造 「職工と微笑」
...疵が邪魔とは言いじょう...
矢田津世子 「凍雲」
...疵(きず)だらけの背筋の中央...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
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