...多少疳癖(かんぺき)のあるらしい顔には決心の影さえ仄(ほの)めいている...
芥川龍之介 「三右衛門の罪」
...……形勢急転、疳癪破裂、即時出立、――といつたやうな語句しか使へない...
種田山頭火 「行乞記」
...どこか我儘な子供を思はせるやうな疳(かん)の強さといふ風なものがなかつたら...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...疳性(かんしょう)ですから...
徳田秋声 「黴」
...疳(かん)のせいで...
中里介山 「大菩薩峠」
...疳高い甘え声が、真昼の暑熱が漸く鈍い渾然さをみせた夕刻の空気の中を、矢のやうに走つた...
中原中也 「医者と赤ン坊」
...父は寝られないと疳癪(かんしゃく)を起して...
夏目漱石 「坑夫」
...おまけに疳性(かんしょう)と来ているから...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...昨夜は疳(かん)が昂(たか)ぶつて曉方までまんじりともしなかつたんですもの」さう言へば...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...昨夜は疳(かん)が昂(たか)ぶって暁方(あけがた)までまんじりともしなかったんですもの」そういえば...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...松林を走るやうな愉快な疳の高い日の氏は...
萩原恭次郎 「純情小曲集」
...自分が疳癪玉の目標になっては...
葉山嘉樹 「浚渫船」
...疳癪がおこつた時には表の米屋が白犬を擲(は)ると思ふて私の家の洗ひかへしを光沢出(つやだ)しの小槌(こづち)に...
樋口一葉 「わかれ道」
...更に幼い頃を囘顧したのに 絵草紙を水に浮けんと橋に泣く疳高き子は我なりしかな といふのがあるが...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...また疳癪(かんしゃく)を発(おこ)しておいでだね」次の間の長火鉢(ながひばち)で燗(かん)をしながら吉里へ声をかけたのは...
広津柳浪 「今戸心中」
...例へば家庭で様々な出来事に出遇つて酷い疳癪を起したりして...
牧野信一 「余の倅に就いて」
...」と疳(かん)高い声で叫んだ...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...疳走(かんばし)ッた声でこう罵(ののし)ッたのは...
吉川英治 「江戸三国志」
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