...兎に角男一匹が何かしら職を求めたらよいのに...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のおんな」
...男一匹一生をかけるほどの熱情がもてないのは当然である...
中井正一 「調査機関」
...鬢髪(びんぱつ)いまだ幸(さいわい)にして霜を戴かざれど精魂漸く衰え聖代の世に男一匹の身を持てあぐみ為す事もなき苦しさに...
永井荷風 「日和下駄」
...いったい何者だ!たとい生温いとはいえ、だらしがないとはいえ、歯切れが悪いとはいえ、その音色に危急存亡の声明とはハッキリとしていて、またその響き来(きた)った方角というのも、この館(やかた)の出丸の直下、石垣が高く塁を成して積み上げられている根元から起って来たのはたしかなので――それ、また続いて聞える、「誰かいねえのかね、男一匹が、ここで生きるか死ぬかの境なんだから、どうか助けておくんなさい、この上の火の光をたよりにここまでこうやって、のたりついたところなんでげすから――どなたか起きて、ひとつ助けておくんなさい、後ろには大敵を控え、前には絶壁、全く以て、男一匹が生きるか死ぬかの境なんでげすから――」続けざまに起る救助を求むるの声、なんてまた生温(なまぬる)さだろう、男一匹が生きるか死ぬかの際に、こういう声を出すくらいなら、黙って死んでしまった方がいい...
中里介山 「大菩薩峠」
...男一匹の活動しかしこの柔和なれと訓(おし)うるは独(ひと)り耶蘇教(やそきょう)に限ったことでない...
新渡戸稲造 「自警録」
...彼らはまさしく男一匹の心持で活動したのである...
新渡戸稲造 「自警録」
...勇は男一匹たるの要素人にまけ己(おの)れにかちて我(が)を立てず義理を立つるが男伊達(だて)なりの一首まことに深重(しんちょう)の味がある...
新渡戸稲造 「自警録」
...男一匹たるの資格は第一に勇を揮(ふる)うて己(おの)れに克(か)つにありと思う...
新渡戸稲造 「自警録」
...弱者の保護は男一匹の要素従来...
新渡戸稲造 「自警録」
...男一匹(ぴき)の任務などいう言葉はわれわれのつねに聞くところである...
新渡戸稲造 「自警録」
...あっしも男一匹さ...
長谷川伸 「沓掛時次郎 三幕十場」
...(あんな女、どこが、ええのか知らん? どうして、あんな女のために、男一匹が、腐ってしまうのか知らん?)マンは、不思議でたまらない...
火野葦平 「花と龍」
...すこしも縛られぬ奔放自由の男一匹となってしもうた」「純(きよ)い心の少年の無垢(むく)な胸を...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...いくら彼んな人だって男一匹だもの...
宮本百合子 「栄蔵の死」
...わたしだって男一匹だ...
モルナール・フェレンツ Molnar Ferenc 森鴎外訳 「破落戸の昇天」
...「美髯公(びぜんこう)! あなたほどな男一匹が...
吉川英治 「新・水滸伝」
...ここに惜しい男一匹が...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...男一匹の面が立つの立たぬのという...
吉川英治 「鳴門秘帖」
便利!手書き漢字入力検索