...一度生血の味をしめた虎(とら)の子のような渇欲が葉子の心を打ちのめすようになったのはそれからの事である...
有島武郎 「或る女」
...甚(はなは)だ高価なる同胞の資財と生血とを投じて贏(か)ち得たる光栄の戦信に接しては...
石川啄木 「渋民村より」
...やがて男の生血に肥え太り...
谷崎潤一郎 「刺青」
...ヴェルハアレンを感奮せしめたる生血(なまち)滴(したた)る羊の美肉(びにく)と芳醇(ほうじゅん)の葡萄酒と逞(たくま)しき婦女の画(え)も何かはせん...
永井荷風 「浮世絵の鑑賞」
...どろどろした生血(なまち)の雪に滴る有様...
永井荷風 「狐」
...人の生血(いきち)を飲みながら植えて行った薬草なんですもの」「もう御免下さい」「あなたには嫌われてしまいましたねえ...
中里介山 「大菩薩峠」
...それに吾(われ)とも知らず妻(さい)の肩に吐きかけた生血(なまち)の容積(かさ)を想像の天秤(てんびん)に盛って...
夏目漱石 「思い出す事など」
...もうプーンと生血の臭い――「あっ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...それは恰度雪深い国の「雪女」の迷信に比ぶべき話で、風巻の季節になると、森蔭や河原のふち、或ひは池のほとりに、烏天狗に似た大男が何処からともなくぬつと立現れて、人を呼び、生血を吸つて、骨はばら/\にして風に飛ばしてしまふのである...
牧野信一 「鬼の門」
...「出ろやい! 長崎屋! 人鬼! 生血吸い! 出ろやい!」「手めえに...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...白鳩の右の翼の下からとった生血...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...人の生血(いきち)を盗む者...
夢野久作 「白髪小僧」
...生血(いきち)を馳走(ちそう)させてやるさ」「すぐそんな気になってはこまる...
吉川英治 「神州天馬侠」
...まず生血を捧げた人々から...
吉川英治 「新書太閤記」
...お米が人目に隠れて服(の)むすっぽんの生血(いきち)だ...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...人間の生血を自分の刀から噴騰(ふんとう)させて...
吉川英治 「松のや露八」
...思いがけない人間の生血を土中に吸って喊呼(かんこ)して歓ぶのか...
吉川英治 「宮本武蔵」
...最後の一滴までの生血を啜(すす)るかのような妖婦的美しさの中にも...
蘭郁二郎 「※[#「氓のへん/(虫+虫)」、第3水準1-91-58]の囁き」
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