...甚(はなは)だ高価なる同胞の資財と生血とを投じて贏(か)ち得たる光栄の戦信に接しては...
石川啄木 「渋民村より」
...本篇一○頁上段に「表てのみは一面に氷りて朝に戸を開けば飢ゑ凍(こゞ)えし雀の落ちて死にたるも哀れなり云々」の語あるを以ツて人或は独乙は温かき生血を有する動物が凍死する程寒威(かんゐ)凛烈(りんれつ)の国なるやと疑ふものあり...
石橋忍月 「舞姫」
...やがて男の生血に肥え太り...
谷崎潤一郎 「刺青」
...西洋の肉売る店の前を過ぎて見るから恐しい真赤(まっか)な生血(なまち)の滴(したた)りに胆(きも)を消した私は...
永井荷風 「監獄署の裏」
...人の生血(いきち)を飲みながら植えて行った薬草なんですもの」「もう御免下さい」「あなたには嫌われてしまいましたねえ...
中里介山 「大菩薩峠」
...下水に生血(なまち)が流れて居るんです」「何んだと...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...秩序の目標は青(ブルウ)と黒(ブラック)仮説の中でひっそりと鼠を食うその霊妙なる味と芳香ああロマンスの仮説誰にも黙殺されて自分の生血をすする少しずつ少しずつの塩辛い血...
林芙美子 「新版 放浪記」
...侍医長は、羚羊の生血と、猿の脳エキスと、印度大麻草の煎汁と、樟脳精を混合した強心剤の大椀を捧げ、西蔵風のアラベスクを金象嵌した極彩色の法皇の寝台へ近づいて行く...
久生十蘭 「新西遊記」
...屋上からその生血を吸ひて餌食となせり...
牧野信一 「鬼の門」
...それは恰度雪深い国の「雪女」の迷信に比ぶべき話で、風巻の季節になると、森蔭や河原のふち、或ひは池のほとりに、烏天狗に似た大男が何処からともなくぬつと立現れて、人を呼び、生血を吸つて、骨はばら/\にして風に飛ばしてしまふのである...
牧野信一 「鬼の門」
...彼奴にかかられて生血をしゃぶり尽された者が...
三好十郎 「好日」
...生血を取られたからだと解して悲んだ者もあったが...
柳田国男 「山の人生」
...曲りくねッたさも悪徒らしい古木の洞穴(うろ)には梟(ふくろ)があの怖(こわ)らしい両眼で月を睨(にら)みながら宿鳥(ねとり)を引き裂いて生血(なまち)をぽたぽた……崖下(がけした)にある一構えの第宅(やしき)は郷士の住処(すみか)と見え...
山田美妙 「武蔵野」
...こうした方法で出征兵士の生血(いきち)を啜(すす)っている稀代の大悪魔なのではあるまいか...
夢野久作 「戦場」
...生血に餓ゑた怖ろしい刺(はり)の陣をば張つて居る...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...まず生血を捧げた人々から...
吉川英治 「新書太閤記」
...五人や七人の生血を塗った助広はここにある...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...久しく伝家の物干竿(ものほしざお)に生血の磨(と)ぎを怠っていたところで――勿怪(もっけ)の倖(しあわ)せといいたいのだ...
吉川英治 「宮本武蔵」
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