...いまでは濃い色彩の着いた絵葉書のように甘美な思い出にさえなっていた...
太宰治 「姥捨」
...とはいえ頗るもって甘美なよろこばしい出来事があったのだ...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「接吻」
...フォーヌの午後の甘美な幻を鑑賞することによって...
寺田寅彦 「映画と生理」
...蜜の如くに甘美なる酒傾けて...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...私の孤独圏を甘美なものにしてくれるだろう...
豊島与志雄 「聖女人像」
...言うに言われぬ甘美な哀愁の残滓を反芻していたのです...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...甘美な香煙がゆらゆらとこめる中に...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...この姉の追憶はいつも彼を甘美な少年の魂に還(かえ)らせていた...
原民喜 「秋日記」
...彼女のうっとりさせるような甘美な眼差し...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...争ふても結局何うすることも出来ない友と友との間の吉井氏が扱ふ詩情豊かな寂光土に僕は十年一日の如く甘美な酒の陶酔感を得る...
牧野信一 「なつかしき挿話」
...私が関東浪曲の甘美な感傷を溺愛するようになったのが...
正岡容 「わが寄席青春録」
...そうしてその甘美な血から咲き出た花は...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...撓いつつ甘美な苦痛を感じて...
宮本百合子 「獄中への手紙」
......
室生犀星 「愛の詩集」
...よく自分で自分が作つた甘美な哀愁にひたりながら...
室生犀星 「抒情小曲集」
...あの人との甘美な交遊を楽しむべく与えられた四年間*にくらべるならば...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...人間生活の最も完全で甘美な果実が存する友愛と交際との道が...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...僕は粟鼠の毛皮をつけた甘美な女の顔の花園を眺めながら云うのだ...
吉行エイスケ 「東京ロマンティック恋愛記」
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