...女の顏は明暗の中に甘美な調和を現はした...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...美女と二人きりで甘美な夢の国に遊びたいという武州公の願望は...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...少くとも「出家とその弟子」のような甘美な世界のことではないことを知った...
外村繁 「澪標」
...一つの「呼吸」の把握はいかなる愉悦にもまして甘美なる悦楽である...
中井正一 「スポーツの美的要素」
...甘美なサイレンの歌が賢いイタカ人(びと)の王を誘惑しようとしている...
中島敦 「環礁」
...一種甘美な羨望(せんぼう)の念を私は覚えた...
中島敦 「光と風と夢」
...情緒的で甘美な前者と...
野村胡堂 「楽聖物語」
...あまりの甘美な夢に驚き怖れ...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...何んとも言えない甘美な心持で...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...彼女のうっとりさせるような甘美な眼差し...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...彼等が皆見る甘美な夢に身を任せていた...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...そのときは半分以上も字の意味が分らないままに自分勝手にそれをハイネ好みの甘美な詩に仕上げてしまっていた奴(やつ)が実はハイネの晩年の...
堀辰雄 「旅の絵」
...争ふても結局何うすることも出来ない友と友との間の吉井氏が扱ふ詩情豊かな寂光土に僕は十年一日の如く甘美な酒の陶酔感を得る...
牧野信一 「なつかしき挿話」
...何も彼も忘れ洗いざらした甘美な一瞬の楽しさ...
室生犀星 「幼年時代」
...人間生活の最も完全で甘美な果実が存する友愛と交際との道が...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...鴎のゆるく飛び交う水面を拡がる水脈のような甘美な愁いがいっぱいに流れわたった...
横光利一 「旅愁」
...素朴な男女のそれの方がむしろ絶対境な秘園の同化と甘美な泉を汲(く)んでいたかもしれなかった...
吉川英治 「私本太平記」
...まだなにか女の甘美なにおいには乏(とぼ)しい...
吉川英治 「新書太閤記」
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