...周匝(あたり)にひびく駒下駄の音を石甃に刻み乍ら...
石川啄木 「葬列」
...六十になりて母無き燈籠(とうろ)かな明治三十九年送火(おくりび)や母が心に幾仏(いくほとけ)明治三十九年桐一葉(きりひとは)日当りながら落ちにけり僧遠く一葉しにけり甃(いしだたみ)明治三十九年八月二十七日 俳諧散心...
高浜虚子 「五百句」
...仄(ほの)かに影を甃の上に落している平和さ...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...石を甃(し)いた平坦な路は郊外にはあまりないので...
田中貢太郎 「賈后と小吏」
...岩が甃(いしだたみ)を敷いたようになっていて前岸(むこう)へ渉(わた)るにはぞうさもなかった...
田中貢太郎 「竈の中の顔」
...二つは低い石甃(いしだたみ)の壇(だん)の上に並んで立っていて春琴女の墓の右脇(みぎわき)にひと本(もと)の松(まつ)が植えてあり緑の枝が墓石の上へ屋根のように伸(の)びているのであるが...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...やっとのことで甃石(しきいし)道を這いながら...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...又点滴の雫が甃石(しきいし)に穴を穿つが如く根気よく細字を書くより外に道がない...
永井荷風 「申訳」
...石甃(いしだたみ)が長々と続いていた...
堀辰雄 「三つの挿話」
...一石橋の甃石の日の光りは岡山生れでありながら東京錦絵風景を好んで愛された画伯の筆によくよく写されてゐるけれど...
正岡容 「下町歳事記」
...玉の甃(いしだたみ)暖かにして...
南方熊楠 「十二支考」
......
三好達治 「測量船」
...甃石はとうに洗はれてゐて何事の兇變も起つたところがなく...
室生犀星 「末野女」
...信国祠(しんこくし)の壁に甃(しう)せられてゐるさうである...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...中央の白い花崗岩(みかげいし)の石甃の上を...
夢野久作 「狂歌師赤猪口兵衛」
...両手をシッカリと握り合わせたまま石甃の上にドスンと尻餅を突いてしまった...
夢野久作 「狂歌師赤猪口兵衛」
...甃石(しきいし)の上で銅貨を投げ合っていた車夫たちが参木の前へ馳けて来た...
横光利一 「上海」
...ジェームス・ヴェンは恐しさのあまり甃石の上に立ちつくした...
渡辺温 「絵姿」
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