...牡丹(ぼたん)の花瓣(かべん)のように...
太宰治 「女生徒」
...探(さぐ)ることも發見(みいだ)すことも出來(でき)ぬ有樣(ありさま)――それが身(み)の爲(ため)にならぬのは知(し)れてあれど――可憐(いたい)けな蕾(つぼみ)の其(その)うるはしい花瓣(はなびら)が...
シェークスピヤ William Shakespeare 坪内逍遙訳 「ロミオとヂュリエット」
...時々は科學者の態度で摘み取つた花の花瓣から蕊までを仔細に調べる事もあるが...
永井荷風 「鴎外先生」
...而(しか)して花瓣の肉甚(はなはだ)厚く...
永井荷風 「来青花」
...――疲れた胸の裡を花瓣(くわべん)が通る...
中原中也 「在りし日の歌」
...烟りは椿(つばき)の瓣(はなびら)と蕊(ずい)に絡(から)まつて漂(たゞよ)ふ程濃く出た...
夏目漱石 「それから」
...さうして鉢植のアマランスの赤い瓣(はなびら)をふら/\と揺(うご)かした...
夏目漱石 「それから」
...「好(い)い香(にほひ)ですこと」と三千代は翻(ひる)がへる様に綻(ほころ)びた大きな花瓣(はなびら)を眺(なが)めてゐたが...
夏目漱石 「それから」
...佛よわたしは愛する おんみの見たる幻想の蓮の花瓣を青ざめたるいのちに咲ける病熱の花の香氣を佛よあまりに花やかにして孤獨なる...
萩原朔太郎 「青猫」
...花瓣(かべん)の恰好(かつこう)も大(たい)そう美(うつく)しく...
濱田青陵 「博物館」
...その花瓣(はなびら)をひとひらつた...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 堀辰雄訳 「旗手クリストフ・リルケ抄」
...彼は薔薇の花瓣に觸れたやうに思つた...
堀辰雄 「ルウベンスの僞畫」
...莖(くき)の上(うへ)に黄色(きいろ)の五瓣(ごべん)の花(はな)をつけるみやまだいこんや...
本多靜六 「森林と樹木と動物」
...「此桜疎瓣且短鬚...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...その上を細い流れが縮れながら蟲や花瓣を浮べて流れてゐた...
横光利一 「妻」
...叩かれた花園の花瓣のようにひらひらと舞っていた...
横光利一 「日輪」
...臙脂色の花瓣が驟雨のやうに地に落ちて...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...夕霽(ゆふあがり)暮れおそきけふの春の日の空のしめりに櫻咲きたり雨過ぎししめりのなかにわが庭の櫻しばらく散らであるかなひややけき風をよろしみ窓あけて見てをれば櫻しじに散りまふ春の日のひかりのなかにつぎつぎに散りまふ櫻かがやけるかなさういふうちにも私はほんたうの山櫻、單瓣の、雪の樣に白くも見え、なかにかすかな紅ゐを含んだとも見ゆる、葉は花よりも先に萌え出でて單紅色の滴るごとくに輝いてゐる、あの山櫻である...
若山牧水 「樹木とその葉」
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