...槐(ゑんじゆ)と云ふ樹の名前を覚えたのは「石の枕」と云ふ一中節(いつちうぶし)の浄瑠璃(じやうるり)を聞いた時だつたであらう...
芥川龍之介 「槐」
...綺麗に掃除されたラムプの油壷は瑠璃色(るりいろ)のガラスで...
有島武郎 「星座」
...大空は澄める瑠璃色の外...
石井研堂 「元日の釣」
...露臺(ばるこん)の欄にもたれてもの思ふうたびとの眼のやわらかさかなあはれにも宴(うたげ)あらけてめづらしき異國の酒の香のみ殘れるゆふぐれの河岸にただずみ水を見る背廣の人よ何を思へる諸聲(もろごゑ)の流行の小唄身にぞ染む船の汽笛の玻璃に鳴る時いまも汝(な)は廣重の繪をながめつゝ隅田川をば戀しとおもふや(明治43・9・23「東京朝日新聞」)...
石川啄木 「吉井君の歌」
...小學最初級の友だちの、――現今は貴族院議員なり人の知つた商豪だが――邸が侍町にあつて、背戸の蓮池で飯粒で蛙を釣る、釣れるとも、目をぱち/\とやつて、腹をぶく/\と膨ます、と云ふのを聞くと、氏神の境内まで飛ばないと、蜻蛉さへ易くは見られない、雪國の城下でもせゝこましい町家に育つたものは、瑠璃の丁斑魚、珊瑚の鯉、五色の鮒が泳ぐとも聞かないのに、池を蓬莱の嶋に望んで、青蛙を釣る友だちは、寶貝のかくれ蓑を着て、白銀の糸を操るかと思つた...
泉鏡花 「遺稿」
...近松世話浄瑠璃(せわじょうるり)...
田山花袋 「蒲団」
...大理石と青い玻璃とで出来てる大きなインクスタンドを貰ったことがあった...
豊島与志雄 「霧の中」
...宮古路(みやこじ)の浄瑠璃は享保(きょうほ)元文(げんぶん)の世にあつては君子これを聴いて桑間濮上(そうかんぼくじょう)の音となしたりといへども...
永井荷風 「桑中喜語」
...浄瑠璃を聞くような軟い情味が胸一ぱいに湧いて来て...
永井荷風 「雪の日」
...玻璃器(はりき)の水(みづ)を日(ひ)に翳(かざ)して發見(はつけん)した一點(てん)の塵芥(ごみ)であつた...
長塚節 「土」
...熱心に浄瑠璃(じょうるり)を聞こうと力(つと)めた...
夏目漱石 「門」
...もう少し若いのでは誰だろう」「浄瑠璃の今井一中(いまいいっちゅう)がうまいって言いますよ」「少し見当違いだな」今井一中は都一中のこと...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ああ私の探偵は玻璃の衣裳をきて...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...瑠璃(るり)の沙(いさご)厚く...
南方熊楠 「十二支考」
...「義太夫浄瑠璃でもなく長唄でもない...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...その中央に方五寸ほどの玻璃(はり)板を黒き布にて蔽ひたるが嵌(は)め込み在り...
夢野久作 「白くれない」
......
横瀬夜雨 「花守」
...瑠璃紺(るりこん)の皺だらけのマントウを被(はふ)つた老人(としより)の墓番が一人通つたので呼留(よびと)めて問うた...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
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