...その中でも、顔や手首のまつ黒なのが、機関兵で、この連中は今度の盗難に、一時嫌疑をかけられた事があるものですから、猿股までぬいで、検(しら)べるのならどこでも検べてくれと云ふ恐しいやうな権幕です...
芥川龍之介 「猿」
...猿股の一ダースを入れた箱を一つずつ持って...
芥川龍之介 「水の三日」
...猿股を配ってしまった時...
芥川龍之介 「水の三日」
...大雨で猿股まで濡れて了ったり...
石川欣一 「山を思う」
...早く家へ入って猿股(さるまた)をはいてこんか」と...
海野十三 「空襲警報」
...猿股(さるまた)一つのまま...
海野十三 「地球盗難」
...いいか」紫繻子の猿股が...
江戸川乱歩 「踊る一寸法師」
...都合で監督の猿股などはかされているが...
大阪圭吉 「坑鬼」
...猿股でなく褌を用いるのが私の気に入った...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...メリヤスの肌衣を着すと雖両腕を蔽わず猿股一つに辛くも陰部を蔽うのみ...
永井荷風 「偏奇館漫録」
...彼は我々の穿(は)く猿股(さるまた)一つの外(ほか)何物も肌に着けていなかった...
夏目漱石 「こころ」
...紫の猿股(さるまた)をはいて婦人席の方を向いて立っている...
夏目漱石 「三四郎」
...あまり車夫が猿股をつけて天下の大道を我物顔に横行濶歩(かっぽ)するのを憎らしいと思って負けん気の化物が六年間工夫して羽織と云う無用の長物を発明した...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...私はメリヤスの猿股(さるまた)を並べて「二十銭均一」の札をさげると...
林芙美子 「新版 放浪記」
...「女が猿股ひとつになって...
久生十蘭 「金狼」
...外出ニ際シテハ必ズ下穿(猿股...
久生十蘭 「だいこん」
...ぼろ/\になった軟口蓋から発音させながら彼の着衣の中で洗濯せぬたゞ一つのものである猿股の上で彼の高貴な鼻をちょっとしわませた松葉杖のハイネ君はバイロン卿のマントの裾をふみつけながら不自由な両手でできるだけ胸を抱くようにして進み出た「君の情熱は...
槇村浩 「長詩」
...猿股を穿(は)く...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「にんじん」
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