...てつきりあれは「狸囃(たぬきばや)し」に違ひないと思つたことを覚えてゐる...
芥川龍之介 「本所両国」
...狐狸(こり)にもあらず...
井上円了 「おばけの正体」
...狸は「八百蔵大(おほ)へいこ」と書いて済ましてゐたさうだ...
薄田泣菫 「茶話」
...狸ほど安々と手捕(てどり)に出来る獣(けもの)は外(ほか)に無いさうだ...
薄田泣菫 「茶話」
...戸川残花氏と狸11・4(夕)先日(こなひだ)奈良へやつて来た戸川残花氏は...
薄田泣菫 「茶話」
...鹿を質に置いても狸は飼はなければならぬ...
薄田泣菫 「茶話」
...私が防空壕の中で、このカチカチ山の繪本を讀んでやつたら、「狸さん、可哀想ね...
太宰治 「お伽草紙」
...其の狸は其の翌晩もやって来た...
田中貢太郎 「狸と俳人」
...相手の古狸もなかなかさる者で...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...或る夜、神尾主膳は囈言(うわごと)のように、枕許にいた福村を呼んでこう言いました、「福村、このごろ、毎夜のように、この屋敷へ狸が入り込むな」「狸? そんなことはござるまい」「夜中に眼が醒(さ)めると、狸の足音がする、耳を澄まして聞いていると、離れの方へ忍んで行くようだ、おれは、二晩までその足音を聞いた、この調子だと今夜あたりもやって来るぜ、取捉まえてやろうと思うが、足音だけが聞えて、身体が利(き)かぬ」「それは穏かでない、いったい、狸の足音というのを、どうして大将は聞き分けた、狸なら狸のように、もし人間であったら人間のように、ずいぶん打捨(うっちゃ)っちゃおけねえ」と言って福村は、今更のように離れの方を見ました...
中里介山 「大菩薩峠」
...狸かなにかの剥いだ皮が吊してあります...
中里介山 「大菩薩峠」
...水狸や獺を捕へる...
中島敦 「狐憑」
...何故(なぜ)狸や虎が家畜とはならなかったろう...
新渡戸稲造 「イエスキリストの友誼」
...貉(むじな)や狸(たぬき)なら...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...狸穴に縁を持たせて鼓の源吉といふポンポンした四十男...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...もとは巣鴨の染井や麻布の狸穴だけのものだったが...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...そこには狐も狸(たぬき)も決して入れないことにする...
宮原晃一郎 「孝行鶉の話」
...この狸はそれから柿野という部落に入って同じことをくりかえし...
柳田国男 「山の人生」
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