...神明町(しんめいちやう)の狭斜(けふしや)を過ぐれば...
芥川龍之介 「大正十二年九月一日の大震に際して」
...自分の母が狭斜(きょうしゃ)の巷(ちまた)に生い立った人であると云う事実は...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...それがずつと狭斜らしい感じのする巷路へと入つて行つた...
田山録弥 「一室」
...狭斜は狭斜でも、下等なところらしく、入口が二たところもあつて、その上のところに妓の名の書いた札のかかげられてあるのを私達は見た...
田山録弥 「一室」
...ひとり立つてじつと海を眺めてゐる若い美しい女――それは一目で狭斜(けふしや)の人であるといふことがわかつたが...
田山録弥 「犬」
...あゝいふことは出来ませんな!』しかしその音はいかにも水郷の狭斜らしい感じをかれに誘つた...
田山録弥 「船路」
...是ヲ狭斜ノ叢トナス...
永井荷風 「上野」
...又狭斜の巷に在っては「池の端の御前」の名を以て迎えられていた...
永井荷風 「上野」
...明治年間に残りし江戸狭斜(きょうしゃ)の風俗に接する事を喜ぶ...
永井荷風 「江戸芸術論」
...狭斜の巷に意気と張りとで生きて行く女性(婦系図のお蔦等・通夜物語の丁山・その他)純情の少女(婦系図のお妙・三枚続のお夏以下)勇み肌の兄哥(三枚続の愛吉)等のつくり出す情調と――この二つが...
中島敦 「鏡花氏の文章」
...みなその粉本(ふんぽん)はこの狭斜(きょうしゃ)のちまたから得ている...
長谷川時雨 「明治大正美女追憶」
...いまゝたはじめて清福の作家生活結婚生活に入るを得た巣鴨の狭斜街の旧宅趾も亦過去一切を偲ぶ可くもなくなつてしまつた...
正岡容 「巣鴨菊」
...当時猶狭斜の盛を見ることが出来たであらう...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...然れ共彼の集に因りて之を察するに彼は喜んで狭斜の遊を為せしものに非りき...
山路愛山 「頼襄を論ず」
...その頃の狭斜(きょうしゃ)の街たる妓院(遊女...
吉川英治 「随筆 新平家」
...狭斜の情調に少年の未知が衝かれる...
吉川英治 「年譜」
...関内芸妓の狭斜の町と織り交ざっており...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...すなわち音調の美と狭斜(きょうしゃ)の情調とを中心にする歌から...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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