...それがずつと狭斜らしい感じのする巷路へと入つて行つた...
田山録弥 「一室」
...ひとり立つてじつと海を眺めてゐる若い美しい女――それは一目で狭斜(けふしや)の人であるといふことがわかつたが...
田山録弥 「犬」
...ここの狭斜は大通の雑踏と混雑とにまぎれて...
田山花袋 「日本橋附近」
...この水郷の狭斜街に来て...
田山録弥 「船路」
...さういふ物に真先きに魅惑を感ずるのが狭斜の習ひだから...
坪内逍遙 「斎藤緑雨と内田不知菴」
...興動けば直(ただち)に車を狭斜(きょうしゃ)の地に駆(か)るけれど家には唯蘭(らん)と鶯(うぐいす)と書巻とを置くばかり...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...又狭斜の巷に在っては「池の端の御前」の名を以て迎えられていた...
永井荷風 「上野」
...烟花狭斜(えんかきょうしゃ)の風俗かくの如く新聞紙を利用して売名をのみ専(もっぱら)となすに至つては粋(すい)も意気もあつたものにあらず...
永井荷風 「桑中喜語」
...寺島町五丁目から六七丁目にわたった狭斜の地は...
永井荷風 「※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]東綺譚」
...曾テ都下狭斜ノ巷ニ在テ左褄ヲ取リシモノ亦無シトセズト...
永井荷風 「申訳」
...みなその粉本(ふんぽん)はこの狭斜(きょうしゃ)のちまたから得ている...
長谷川時雨 「明治大正美女追憶」
...狭斜(きょうしゃ)の巷(ちまた)を放歌してゆく蕩児です...
浜尾四郎 「死者の権利」
...いまゝたはじめて清福の作家生活結婚生活に入るを得た巣鴨の狭斜街の旧宅趾も亦過去一切を偲ぶ可くもなくなつてしまつた...
正岡容 「巣鴨菊」
...当時猶狭斜の盛を見ることが出来たであらう...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...周覧は狭斜に出入し...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...常に狭斜に往来するものであつた...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...その頃の狭斜(きょうしゃ)の街たる妓院(遊女...
吉川英治 「随筆 新平家」
...すなわち音調の美と狭斜(きょうしゃ)の情調とを中心にする歌から...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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