...狡い考えに罰せられて...
田中英光 「箱根の山」
...さうかと云つて(大抵の邪惡な顏には何處か狡い賢さがあるものだが)惡賢いといふ柄でもない...
中島敦 「環礁」
...烏猫烏猫 烏猫眼ばかり光る烏猫のろり のろり 歩いてるほんとに狡い烏猫矮鶏(ちやぼ)の雛(ひよつこ)追つかけた尻尾の長い烏猫厩(うまや)の背戸に昼寝しろぐうぐうぐう昼寝しろ火箸が ぐんにやり曲るほどたたいてやるから昼寝しろ...
野口雨情 「十五夜お月さん」
...あの狡い連銭葦毛に至るまでの三頭の馬とから成る旅行者の一団の前には...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...けれどあの女(ひと)は悪賢こくて狡いの...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...五十一歳で年寄がるのは少し狡いね...
牧野信一 「熱海へ」
...狡い笑ひを浮べた...
牧野信一 「「悪」の同意語」
...……(自分は不自然な愛の間から生れた子に違ひない、???? それで俺は斯んなに馬鹿なのかしら! それで俺は、性質が妙に弱いやうな、狡いやうな、そして男らしい一本気に欠けてゐる、辛棒性がない、そのくせ悪く小細工をするやうな根性をもつてゐる...
牧野信一 「蔭ひなた」
...「狡い男だ...
牧野信一 「素書」
...がこの時こそは少しも二人を欺さうなどゝいふ狡い考へは私の考へに毛頭ありませんでしたから...
牧野信一 「嘆きの孔雀」
...岡村は先刻から独りで椅子になんて凭り掛つてゐて全く狡いや!」「廻す位なら...
牧野信一 「眠い一日」
...さつきのやうにテレることがなくなるかも知れない――滝にはそんな狡い考へもあつたが...
牧野信一 「舞踏会余話」
...勇の次男坊気質を助長させながら「長男の貴様」にまた食い下ろうとする狡い性根もいくらか癒るだろうし...
「小祝の一家」
...婦人大衆の文化を昔ながらの奴隷的な低さで止めておこうと狡い計略をめぐらしている...
宮本百合子 「国際無産婦人デーに際して」
...あなたは大変に大変に狡いわね...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...私ったら狡いわねえ...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...そういう狡い自分への云いなだめの口実をつかまえた次第です...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...――今の世の中で狡い人間は坊主...
吉川英治 「宮本武蔵」
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