...東京人たる鹿島さんには聖賢相親しむの情――或は狐狸(こり)相親しむの情を懐抱(くはいはう)せざる能(あた)はざるものなり...
芥川龍之介 「田端人」
...狐が汽車に圧せられて死んでいた」と申した...
井上円了 「おばけの正体」
...漁夫はただいちずに狐が邪魔をするのとばかり心得...
井上円了 「おばけの正体」
...――古代エジプト式手相及び人相鑑定三角軒ドクトル・ヤ・ポクレ雨谷狐馬(あまたにこま)...
海野十三 「金属人間」
...「新ちゃん、この間うち、ちっとも来なかったが、何(ど)うしていたのだ」「おいらは、お母(っか)さんに狐が憑いたから、それで来なかったよ」「なに、狐が憑いた、ほんとうかい」「ほんとうとも、嘘を云うもんか、おいらは、その狐を斬ったよ」「嘘云ってら、狐が斬れるものか」「でも、斬ったのだよ」「じゃ、死んじゃったかい」「逃げちゃったよ、彼奴を殺したかったよ、どうかして、あんな奴を殺せないかなあ」「狐は化けるから殺せないよ、家のお父(とっ)さんが云ったよ、狐でも狸でも、銀山の鼠取を喫わせりゃ、まいっちまうって」「そうかい、銀山の鼠取かい、鼠取ならおいらの家にもあるよ」新一はそれから吉と一二時間も遊んでいたが、母親のことが気になりだしたので急いでかえって来た...
田中貢太郎 「狐の手帳」
...狐だろう」翌日になって新三郎は下谷の御嶽行者の処へ往って祈祷を頼んで来た...
田中貢太郎 「狐の手帳」
...もとより気の利(き)いた料理屋などのある町でないのは分っていたから一時のしのぎに体をぬくめさえすればいいのでとある饂飩屋(うどんや)の灯を見つけて酒を二合ばかり飲み狐(きつね)うどんを二杯たべて出がけにもう一本正宗(まさむね)の罎(びん)を熱燗(あつかん)につけさせたのを手に提(さ)げながら饂飩屋の亭主がおしえてくれた渡し場へ出る道というのを川原(かわら)の方へ下って行った...
谷崎潤一郎 「蘆刈」
...その後も折々(おりおり)狐の曲を繰(く)り返(かえ)し聴(き)いたことがあるから...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...旅人から狐の話をきいて...
土田耕平 「狐の渡」
...こないだうなぎをぬすみやがったあのごん狐めが...
新美南吉 「ごん狐」
...御主人はその女を見かけたことはございませんか」「狐...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...狐の嫁入りといふかときいた...
長谷川時雨 「春宵戲語」
...狐は、時々人間をみたことがあったし、人間は二本の足で立って歩いているので、狐は珍らしくて仕方がないのです...
林芙美子 「狐物語」
...鶏を狐に盗られぬようにするには...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...路次いくつか隔てた遠方の町行く法印の法螺貝の音は炬燵にひとり魯文の『花ごろも狐の草紙』...
正岡容 「異版 浅草燈籠」
...仔牛が厭(あ)きて頭をぶらぶら振ってゐましたら向ふの丘の上を通りかかった赤狐(あかぎつね)が風のやうに走って来ました...
宮沢賢治 「黒ぶだう」
...私の子供のころ辻川には狐狩りという行事が...
柳田国男 「故郷七十年」
...雉子小屋(きじごや)に入りて雉子を待ちしに狐(きつね)しばしば出でて雉子を追う...
柳田国男 「遠野物語」
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