...唯、野葡萄(のぶだう)か何かの蔓(つる)が、灌木の一むらにからみついてゐる中を、一疋の狐が、暖かな毛の色を、傾きかけた日に曝(さら)しながら、のそりのそり歩いて行く...
芥川龍之介 「芋粥」
...「さては彼の狐めが...
巌谷小波 「こがね丸」
...思うに、水中の月を促えし猿猴は、狐に欺かれて、満月の影を捉えし、狼なる可く、或は豺に欺かれし獅子、狐に欺かれし熊なる可く、換言すれば、動物説話の愚なる主人公なりしなる可し...
高木敏雄 「比較神話学」
...おみくじの沢山入れた筒を、その鼻先につきつけて、「――お狐さま、どうぞ、お願ひ致しまつせ、吉凶を占つて下さりませ」と、云ふと、狐はその一枚を咬(くは)へ取る仕掛になつてゐた...
武田麟太郎 「大凶の籤」
...狐(きつね)につままれたような顔をして...
橘外男 「雷嫌いの話」
...狐妻(こさい)を獲て...
田中貢太郎 「涼亭」
...木の下に一疋の狐がいて...
田中貢太郎 「老狐の怪」
...母―――狐―――美女―――恋人―――と云う連想がもっと密接である...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...紋付に前帶の女狐とが大勢從つてゐる...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...狐がお屋敷の(とり)をとったんでげすって...
永井荷風 「狐」
...狐の鳴き声を真似て...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...釣橋の上を狐の行列のやうに提灯をさげた人連れが続いて来ます...
牧野信一 「舞踏会余話」
...そのあと空しく薄暗い土間へ放りだされている石の狐の耳ひとつ...
正岡容 「小説 圓朝」
...コルゴ(第三図)英語でフライイング・レムール(飛狐猴)...
南方熊楠 「十二支考」
...やさしい狐火のやうに思はれました...
宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」
...それをバターで両面の狐色になるまでフライして出します...
村井弦斎 「食道楽」
...狐疑していることも確かです...
吉川英治 「三国志」
...しかし、時すでに、堀秀政、小川佐平次らの先鋒隊は、狐塚を突破し、支(ささ)えに立つ柴田の将士には目もくれず、彼方へ奔(はし)る金幣(きんぺい)の馬簾(ばれん)一つを各目がけて、「匠作(しょうさく)はあれよ...
吉川英治 「新書太閤記」
便利!手書き漢字入力検索