...今までの物臭さに似ず...
有島武郎 「星座」
...あのお伽噺(とぎばなし)にある物臭太郎の様に...
江戸川乱歩 「赤い部屋」
...東京にいるのは金のない奴か物臭か...
田中貢太郎 「提灯」
...何にしてもこの物臭い風つきは小ざっぱりした部屋の空気に調和しないばかりでなく...
谷崎潤一郎 「蘿洞先生」
...そうしよう」物臭太郎というのが奇抜に聞えましたけれど...
中里介山 「大菩薩峠」
...物臭太郎の正体がわからない...
中里介山 「大菩薩峠」
...なるほど名こそ物臭太郎だが、この住居の結構は藤原時代で、三公を凌(しの)ぐものだ、なるほどと、兵馬が深く思い入れをした様子を見て神主は、ちょっと朗読を中絶して、「大したものでござんしょう、これでは平安朝時代、藤原氏全盛の頃の並びなき公卿(くげ)さんのお住居です、物臭太郎が、こういった宏大な家に住んでいたと思うと不思議でございましょうが、まあ、もう少しこの先をお聞き下さい、いいですか」「厩(うまや)、遠侍に至るまで、ゆゆしく作り立てなさばやと心には思へども、いろいろ事足らねば、ただ竹を四本立ててぞゐたりける」「どうです、すっかり人を釣っておいて、最後に突放した手際はあざやかなものじゃありませんか、ゆゆしく作り立てなさばやと心には思えども、いろいろ事足らねば、ただ竹を四本立ててぞいたりける……が旨(うま)いじゃありませんか」兵馬もばかにされた思いをしながら、それでも行文の妙味に、少なからず感動させられたようです...
中里介山 「大菩薩峠」
...人の通るのを待っているという徹底した物臭ぶり...
中里介山 「大菩薩峠」
...乾物臭い納屋の二階に登りましたが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...人間がだんだん物臭くなって行く経過がわかって面白くもあるが...
久生十蘭 「あなたも私も」
...この物臭なようすは...
久生十蘭 「雪間」
...肥りすぎた物臭さのせいで...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...物臭(ものぐさ)な...
平林初之輔 「アパートの殺人」
...」私はさもさも物臭さうにふところ手のまゝ脊骨を棒のやうに突つ張らせてぶつ/\いつてゐたが...
牧野信一 「冬物語」
...髭(ひげ)を物臭さに長く生やして...
宮本百合子 「栄蔵の死」
...これらの主治医の診断にもかかわらず私は私自身を放棄する立場を感じたのは物臭さからであった...
室生犀星 「われはうたえども やぶれかぶれ」
...何ともいえない劇毒薬の蒸発するような動物臭が腸(はらわた)のドン底まで沁(し)み込んで行く...
夢野久作 「超人鬚野博士」
...物臭な兼好も、自分で買物には出ねばならず、朝の掃除も、といったふうに、机だけに倚(よ)ってもいられない...
吉川英治 「私本太平記」
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