...当人の物臭(ものぐさ)な性質から来ていることが...
谷崎潤一郎 「細雪」
...くれぐれも平素の物臭(ものぐさ)な癖を出さないように...
谷崎潤一郎 「細雪」
...何にしてもこの物臭い風つきは小ざっぱりした部屋の空気に調和しないばかりでなく...
谷崎潤一郎 「蘿洞先生」
...そうしよう」物臭太郎というのが奇抜に聞えましたけれど...
中里介山 「大菩薩峠」
...物臭太郎の正体がわからない...
中里介山 「大菩薩峠」
...物臭太郎も名乗りを持っているということを...
中里介山 「大菩薩峠」
...なるほど名こそ物臭太郎だが、この住居の結構は藤原時代で、三公を凌(しの)ぐものだ、なるほどと、兵馬が深く思い入れをした様子を見て神主は、ちょっと朗読を中絶して、「大したものでござんしょう、これでは平安朝時代、藤原氏全盛の頃の並びなき公卿(くげ)さんのお住居です、物臭太郎が、こういった宏大な家に住んでいたと思うと不思議でございましょうが、まあ、もう少しこの先をお聞き下さい、いいですか」「厩(うまや)、遠侍に至るまで、ゆゆしく作り立てなさばやと心には思へども、いろいろ事足らねば、ただ竹を四本立ててぞゐたりける」「どうです、すっかり人を釣っておいて、最後に突放した手際はあざやかなものじゃありませんか、ゆゆしく作り立てなさばやと心には思えども、いろいろ事足らねば、ただ竹を四本立ててぞいたりける……が旨(うま)いじゃありませんか」兵馬もばかにされた思いをしながら、それでも行文の妙味に、少なからず感動させられたようです...
中里介山 「大菩薩峠」
...女房が朝日権現とあらわれる――これは文徳天皇の御時なりし……とある物臭太郎一代記を神主の口から...
中里介山 「大菩薩峠」
...しかも私の骨に徹する怠惰癖と物臭さ根性とは...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...父は物臭で、なにひとつ娘たちに身の立つようなこともしてくれなかったが、一人々々が古沼の淀みから出て、幸福になることを、心から願っているので、世間で評判しているような、金穀でむすめを売り沽かすなどということはなかった...
久生十蘭 「奥の海」
...肥りすぎた物臭さのせいで...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...」私はさもさも物臭さうにふところ手のまゝ脊骨を棒のやうに突つ張らせてぶつ/\いつてゐたが...
牧野信一 「冬物語」
...彼は花を見ては好く感奮するが、然も実を云うと彼の霊は蓮根から出る糸の様に、冷たい、柔かい、青い、植物臭いもの、又ある種の虫の体臭も混入し、眠った、爬虫類の様にソッケなく、もし、何か光が出るとすれば、それは夜光虫のと同じで、水の中にある様なものでなくてはならない...
松永延造 「職工と微笑」
...これらの主治医の診断にもかかわらず私は私自身を放棄する立場を感じたのは物臭さからであった...
室生犀星 「われはうたえども やぶれかぶれ」
...10835変に怪物臭い奴等だから...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...何ともいえない劇毒薬の蒸発するような動物臭が腸(はらわた)のドン底まで沁(し)み込んで行く...
夢野久作 「超人鬚野博士」
...物臭な兼好も、自分で買物には出ねばならず、朝の掃除も、といったふうに、机だけに倚(よ)ってもいられない...
吉川英治 「私本太平記」
...「おや、いたのかおめえ」「はい」「いい若い者のくせにして、物臭え男だな...
吉川英治 「醤油仏」
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