...母が以前にもまして物柔かに父に対してゐるのを見ると...
田畑修一郎 「鳥羽家の子供」
...まるで別人のやうに物柔かな顔になり...
田畑修一郎 「鳥羽家の子供」
...――お柳とあの女との物柔かな声……蒼白い顔……頬の線……鼻そのものが宿す深い影……冷たく輝く愛情の窓である眼……額(ひたい)……これらの相似はこの世にあり得る暗合であるかも知れない……しかしその表情?――彼はいま寂然としている自分の心へ言いかけてみた...
富ノ沢麟太郎 「あめんちあ」
...綱手は、母を片手で押えながら「駕は、二梃共、御入用?」侍は、落ちついた綱手の態度と、その美しさと、物柔かさとに、挫けながら「一梃でよい――無礼な」と、呟いて、駕の方へ去った...
直木三十五 「南国太平記」
...お雛の許嫁(いいなずけ)の重三は、十年越し店に勤めた忠義者で、女のように優しい感じのする、物柔かな好い男、近江屋にはこれも遠縁に当るそうですが、それよりは、真面目な勤め振りと、人柄を見込まれて先代がお雛の許嫁に定(き)めたくらいの若者です...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...物柔かいうちにも...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...物柔かに平次を振り仰ぎました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...入口には女の客が來たらしく平次の女房のお靜が物柔かに掛け合つてをります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...典型的なお店者(たなもの)で、物柔かな調子や、蒼白い顏や、物を正視することのできない臆病な態度など、岡つ引に取つては、くみし易い方ではありません...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...物柔かに斯(か)うきり出しました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...物柔かな驅け引きだつたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...物柔かに女客を招じ入れた樣子です...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...主人は物柔かに見えてゐて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...隱さずに皆んな言ひさへすれば宜いのだよ」平次は物柔かに言ひ直しました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...何んとなく物柔かで辯舌も爽(さわ)やかです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...薄給の男が物柔かにいった...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「神の剣」
...また二人の間でも物柔かな紐帯で行われている日日を...
横光利一 「夜の靴」
...東京の人である女主人初め女中達も物柔かに静かな感じの好い人達であつた...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
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