...二日の物憂い旅の後に晩秋の東京に着いた...
有島武郎 「小さき者へ」
...ふしぎの国――愛らしく、野蛮で、神話的な国土は、物憂い安逸に、彼を誘った...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...このやうに蟹田町は、田あり畑あり、海の幸、山の幸にも恵まれて、それこそ鼓腹撃壌の別天地のやうに読者には思はれるだらうが、しかし、この観瀾山から見下した蟹田の町の気配は、何か物憂い...
太宰治 「津軽」
...物憂い表情をうかべる...
田畑修一郎 「南方」
...睫毛(まつげ)の垂れた不活発そうな物憂い眼と...
ドイル Arthur Conan Doyle 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...物憂い五体を提げ...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...ぬかるみの上に物憂い霧がたてこめていました...
フランセス・ホッヂソン・バァネット Frances Hodgeson Burnett 菊池寛訳 「小公女」
...この物憂い筆をとっていると言えようか...
堀辰雄 「ほととぎす」
...徳ちやんの上に物憂い同情の念が湧くのみだつた...
牧野信一 「街角」
...馬車は物憂い音をたてゝ辛うじて逼つて行つた...
牧野信一 「山を越えて」
...ちやうど物憂い寢ざめからさめると...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...物憂い昼間の仕事台に向っていたときの男とは別人のような元気と精力をもっているようにおもわれた...
室生犀星 「香爐を盗む」
...物憂いながらわたしは気づいてゐた...
室生犀星 「故郷を辞す」
...わたしはむしろ物憂い嫌厭に似た気もちにさへなつた...
室生犀星 「故郷を辞す」
...へいぜいの鉄の物憂い調子の間にあらはれた...
室生犀星 「鉄の死」
...冬が起き上ったような物憂い寒々した腰つきが...
室生犀星 「童話」
...物憂いまで強く射したあのときの日光...
横光利一 「旅愁」
...この門から世間へ出かけるのも何となく物憂いでのう...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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