...物怪(もののけ)でも棲んでいそうなほど鬱蒼(うっそう)たる全山の高い梢(こずえ)が絶え間もなく飄々(ひょうひょう)と哮(ほ)え猛(たけ)っているばかりであった...
橘外男 「逗子物語」
...この場合怒ることのできたのは物怪(もっけ)の幸いでした...
中里介山 「大菩薩峠」
...「これからお登りなさるの?」「ええ」駒井は物怪(もののけ)から物を尋ねられたように感じながら頷(うなず)いて見せると...
中里介山 「大菩薩峠」
...木の葉をもって買いに来たわけじゃあるまいからのう」「物怪変化じゃねえさ...
中里介山 「大菩薩峠」
...何かの物怪(もののけ)にこうされているのであろうと思うと...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...物怪といっても、育てた姫君に愛を残した乳母(めのと)というような人、もしくはこの家を代々敵視して来た亡魂とかが弱り目につけこんでくるような、そんなのは決して今度の物怪の主たるものではないらしい...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...他の人間に移してあったのが皆口惜(くちお)しがって物怪は騒ぎ立った...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...これまで物怪(もののけ)のために一時的な仮死状態になったこともたびたびあったのを思って...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...「しかしこれは物怪(もののけ)の所業だろうと思われる...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...物怪がまた出ぬように法の力で封じこめておいて...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...「どうかあなたの力で物怪が正体を現わして来るようにやってほしいものです」とも信頼したふうで言っているのも哀れであった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...私が格子を上げさせなかったらなるほど物怪ははいる道がなかったろうね...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...物怪のほかへ散るのを恐れて少しの隔てではあるが病室へはお近づけ申し上げないのである...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...物怪に煩っている病人は重態に見えるかと思うと...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...物怪(もののけ)などというものもこうした弱り目に暴虐をするものであるから...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...物怪(もののけ)のすることかと院はお疑いになって...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...いつもお気分がすぐれないようにお寝(やす)みになっていらっしゃるのは物怪(もののけ)などがおしあわせの道を妨げようとするのかもしれませんね」と言いながらも歎いていた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...彼の事を怪物怪物と評判して...
夢野久作 「近世快人伝」
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