...殊に其処は小さな二た間つづきで、その両方のどちらの窓に倚(よ)っても、中庭ごしの白壁のほかに、北から西へ掛けて屋根の上、物干しのはずれ、近所の家々の蔵が五つ六つもずらりと白い壁を見せて居る...
岩本素白 「雨の宿」
...――カマキリは物干し綱に鎌を研ぐ...
高村光太郎 「智恵子抄」
...物干しに並べてかけた紺糸が初夏の美しい日に照らされている...
田山花袋 「田舎教師」
...試みに物干し竿(ざお)の長いのを持って来て...
寺田寅彦 「簔虫と蜘蛛」
...物干しざおのようなものにひょろひょろ曲がった針金を張り渡したのは妙に「物ほしそう」な感じのするものだと思う...
寺田寅彦 「路傍の草」
...「暑けアこの上の物干しへでもお上んなさい...
徳田秋声 「足迹」
...窓の前の物干し棒にふとんをかけて...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...下部は二本の物干し竿(ざお)に掛け...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...二階の物干しはちょうど此家(ここ)の庭の上だ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...この物干しから大屋根の火の見へ上がってちょいと見物しませんか...
正岡容 「初看板」
...ここの物干しよりそのひろさは何倍かです...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...この目白の物干しへ出て眺めるようなひろびろとした空間...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...法衣を乾かしたいから物干しの竿(さお)を貸してくれぬかといわれた...
柳田國男 「日本の伝説」
...画伯は直ちに物干しへ持ちだし...
山本笑月 「明治世相百話」
...物干しのてすりに暮れ沈んでいた味噌久は...
吉川英治 「大岡越前」
...物干し台へ出て、お芳の手をしっかと持ったまま、屋根へ移ろうとすると、星祭りの笹へ、お芳の袂(たもと)が触れて、そばの紅蝋燭(べにろうそく)が火のついたまま部屋の中へ転がり落ちた...
吉川英治 「銀河まつり」
...物干しから屋根へ...
吉川英治 「雲霧閻魔帳」
...きっと、俺はまた、おめえを捨てるぜ」「見捨てないで下さいよう、見捨てないで……」そういいながら、お仙は、治郎吉に解かれた縄をふり払って、物干しから、屋根へ、怖さも忘れて這い出したけれど、裏口はもう真っ赤に染まるほど、御用提灯(ぢょうちん)が埋(うず)もっていた...
吉川英治 「治郎吉格子」
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